サガン鳥栖が、今季の武器の1つでもある若い力で躍動した。

14日はベテランぞろいのガンバ大阪に0-1で屈した。だが、先発の平均年齢はガンバ大阪の26・45歳に対して、DF中野伸哉(17)ら3人が10代の24・55歳。“フレッシュさ”で対抗して会場をわかせた。

前半こそ、相手の個人技や強度の高さに押されたが、DF飯野七聖(24)は「後半は相手のプレスの強度が落ち、ボールを持ち前進できた」。後半はタレント軍団のシュート2本に対し6本と圧倒した。

飯野は「引かれた相手に点が取れないのは、最後の質に尽きる」と反省も口にしたが、昨季2位のチームを最後まで苦しめた。

今季開幕時の選手平均年齢は、J1の20クラブ中3位の若さ(26・42歳)だ。MF高橋、MF原川、MF原、FWチアゴ・アウべスら複数のベテラン主力が退団した一方で、鳥栖ユースから昇格した2人を含め、24歳以下の若手が4人新加入した。全体的に若手が多く経験値への不安要素はあったが、勢いと機動力で開幕ダッシュに成功した。

ユースと2種登録の左SBのDF中野をはじめ、3月29日のU-24(24歳以下)国際親善試合・アルゼンチン戦で先制点を奪ったFW林大地は23歳、攻守の要MF松岡大起は19歳…。主要ポジションに若手が配置され、チームに活力を与えている。

若さゆえに90分間、豊富な運動量でハードワークできることが強みだ。終盤まで衰えない攻守の切り替えの速さはJ1屈指と言える。終始強度の高いパフォーマンスが、前線のハイプレスでボールを奪ってからのショートカウンターなど、攻守に主導権を握るスタイルを支えている。

戦術の試行錯誤を重ねてきた成果でもある。昨季は得点力不足に悩まされ、わずか7勝に終わった。それでも、引き分けが「15」あったことで、そこに伸びしろがあったとも言える。

沖縄キャンプから修正を加え、開幕戦では昨季2戦2分けだった湘南ベルマーレに1-0で完封勝ち。清水エスパルスとアビスパ福岡戦は、鳥栖のスタイル封じに徹せられスコアレスドローに終わった。だが、シュートは清水1本、福岡2本と堅守でねじ伏せた。

現在10試合を終え5勝2分け3敗の4位。勢いも後押しに「いい守備」から「いい攻撃」につなげている。【菊川光一】