ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(36)が、1日のサンフレッチェ広島戦(ノエスタ=無観客)で今季初出場した。

右脚付け根の腱(けん)を断裂してから約5カ月。長いリハビリ生活に、本人が「浮き沈み(の時期が)がどうしてもあった。難しい時も努力と練習で乗り越えてきた」と振り返ったように、選手寿命に影響するかもしれない大けがを乗り越えた喜びがあった。

この2週間、三浦監督はイニエスタの復帰時期を聞かれるたびに「コンディションが一番大事」と繰り返した。本人の試合勘、実戦感覚を含めた体調面に神経を使った。約5カ月も試合に出ていないのだから、無理もなかった。

迎えたこの日の復帰戦。後半30分から、ロスタイムを含めると約18分間プレーした。主に前線に近い位置でバランスをとる役目を担い、ゴールに迫ったのは後半41分、FWリンコンとのワンツーから右クロスを供給しようとした場面ぐらい。スプリント回数は1回だけで、慎重に走る姿を見ても、手探り状態だったのは確かだ。

試合後、イニエスタは現在の状態を聞かれて「何%かと聞かれれば、具体的に答えるのは難しいが、仲間に比べてまだまだ上げていかないといけない」と話したように、完全復活へは現状で6割程度といえそうだ。

三浦監督は「試合と練習では感覚が違う。試合を重ねるごとに、よくなっていく」と説明し、今後への期待は大きい。

この復帰戦のリバウンドがなければ、次節9日の横浜Fマリノス戦(日産ス)も再び途中出場するとみられる。その先は、37歳の誕生日となる11日を経て、15日セレッソ大阪戦(ノエスタ)、22日浦和レッズ戦(埼玉)と続く。

ちなみに、イニエスタが神戸入りした18年以降、埼玉での浦和戦は3年連続欠場中。22日の対戦はその埼玉が舞台になる。スーパースターの先発復帰がいつになるのか、今年こそ埼玉でプレーするのか。試合復帰した背番号8の話題は尽きない。【横田和幸】