湘南ベルマーレの浮嶋敏監督(53)が7日、9日の大分トリニータ戦に向けオンラインで取材に応じ、守備面の改善について見解を述べた。チームは現在、リーグ戦で7試合連続不敗(1勝6分け)で、7試合の総失点はわずか2。最下位に沈んだ昨季は2度の6連敗もあり、肝心な局面で失点し勝ち点を落とすゲームが目立った。今季は粘り強く戦い、しっかり勝ち点を積み上げている。

19年秋から就任した浮嶋監督は、就任後、守備ではすべてにハイプレスをかける湘南スタイルを変化させた。相手の出方によってブロックをひく時間帯も見られ、攻撃でも後ろからつなぐ戦術もとり入れている。去年に比べた守備の向上を、指揮官はこう分析する。

浮嶋監督 去年は、長年やってきた、いわゆるオールタイムのハイプレスをするやり方というものが、ある意味、非常に強いメンバーと、(移籍加入で)外から来てプレスに対しての解釈、戦術的な部分のとらえ方で、大きく違う数グループが1つのグループとしてやることで時間がかかったということだと思う。もともと一昨年にいたメンバーは、湘南スタイル=ハイプレスなんですよ。ハイプレスとは相手のコートの3分の1で、すべてにプレッシャーをかける。そういう部分でいうと、そこは変えたところはありますよね。そこがなじまなかったのが去年の序盤だったと思う。一昨年から今年の視点で見ると、20数人が変わっている。そういう意味では、今年はチーム戦術、特に守備、切り替えの部分に関しては、みんなが迷うことなく、早く一体感を持ってやれるようになってきているというのがある。

指揮官は、ゲームの中での修正力もついたことも挙げる。各選手が受け身で言われたことをやることを「ブラックパワー」、自分たちで指摘をし合い、その中でレベルを上げることが「ホワイトパワー」と例えを出し「今年は、ホワイトパワーが持てるような選手が出てきたのではないかなと。そういったところが今の守備の安定にはつながっている。ゲームの中で流れが悪いとき、去年は失点してしまう場面が多かったが、そういう時間でも崩れないのは、ベンチから強く言っているわけではなくて、彼らが中でそういう力をだんだん、発揮できるようになってきたのかなと思う」。

けがによる離脱者も復帰し、FWウエリントンら新外国人選手のコンディションも上向いており、チームの層も厚くなった。もちろん、攻守においてアグレッシブな湘南スタイルは軸にあるが、相手に出方によって戦い方を変える柔軟な修正力も加わりつつある。次節の大分戦へ、指揮官は「(大分の)片野坂監督がやろうとしているものが徐々に出てきている。我々はチャレンジャーとしていい戦いをすることが大事」と勝ち点3の上積みへ意欲を見せた。