強すぎる王者、川崎フロンターレが止まらない。ホームで北海道コンサドーレ札幌を2-0と下し、昨季から続くJ1歴代最長となるリーグ22試合連続無敗を達成した。従来の記録は12~13年に大宮がマークした21試合。MF三笘薫(23)、FW小林悠(33)とチームの顔となる2人がそろって得点し、29年目を迎えたJリーグの金字塔に花を添えた。14勝3分けの勝ち点45に伸ばし、首位を独走する。

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役者がそろってゴールを決めた。後半4分、東京五輪世代の三笘が先制点。MF家長の右クロスに逆サイドから走り込み、こぼれ球を右足で蹴りこんだ。13得点12アシストした1年目に続く今季も既に7点目。「去年の活躍を受けて(プレッシャーの中で)どれだけできるか、楽しみのほうが強い」と話す頼もしき男が、流れを引き寄せた。

後半ロスタイム4分には、J1で300試合目となった小林がダメ押しの追加点を挙げた。チームが取り組む鋭いボール奪取からの速攻。GKと1対1の絶好機を作ると右足で冷静に左隅へゴール。1度はオフサイド判定が出たが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によって得点が認められた。小林は「背後にスペースがあると見ていた。(田中)碧が速いボールを入れてくれた」と仲間に感謝した。

新記録がかかった試合の相手は、昨季ホームで唯一の敗戦を喫し、連勝を12で止められた札幌。この日も強みである前線からのプレスをいなされ、攻め込まれる場面もあった。DF谷口、ジェジエウのCBコンビを中心に粘り強く守り、GKチョン・ソンリョンの好セーブもあった。鬼木監督は「締めるところで締められた。徐々にメンタルの強さを培ってきている」とチームの成長を語った。

在籍12年目、フロンターレ一筋の小林は「自分で言うのもなんですが、今の川崎Fは強い」と胸を張った。得点ランク2位の10ゴールを記録しているFWレアンドロ・ダミアンが先発で、実力者の小林でさえ後半途中からの出場が多い。リーグ随一の選手層を誇り、厳しいポジション争いが常勝軍団を支える。「勝った試合でも『もっとこうすればよかった』とか、そういう話がここ数年で一番多い。勝ちながら満足している選手はいない」。5連戦の最後でさすがに疲労の色も見えたが、しっかり勝ちきった。

前日の5月15日でJリーグは29年目を迎えた。金字塔を打ち立ててなお、鬼木監督と小林は「まだまだ修正できるところはある」と口をそろえる。王者が誰よりも貪欲でありつづける限り、この勢いはとどまりそうにない。【岡崎悠利】