鹿島アントラーズが、清水エスパルスに4発快勝した。開幕戦で1-3で敗れた相手に、しっかりとリベンジを果たした。

チームを勢いづかせたのは東京五輪代表のFW上田綺世(22)だった。6月20日のベガルタ仙台戦以来、8試合ぶりの先発。前半18分、MFピトゥカの縦パスを受けると、ゴールから25メートル離れていた場所から迷わず右足を振り抜いた。清水の日本代表GK権田の手をかすめ、ゴール左隅に決まった。

上田は試合後「五輪が終わってこのチームでポジション争い、このチャンスをものにしたいと試合に出ました」と秘めた思いを明かした。得点シーンに「遠めからでも振るのは自分にとって追い風になる。常にフリーだったらシュートを狙っています」とキッパリ。前半8分には、GKと1対1になりシュートを打ったが、はじかれた。決定機を外しても、すぐに気持ちを切り替え、その10分後に見事なゴール。ストライカーの気質を感じさせた。

上田は8月28日が誕生日で、清水戦が22歳の最後の試合だった。22歳の1年を「ずっと大事な年になると言ってきた。五輪だったり、今後のキャリアもそうですし、試行錯誤してステップアップしていかなくてはいけない。自分を駆り立てるような年になった」と振り返る。

東京五輪世代では最も得点を重ねてきたが、本大会では不発に終わった。それでも下を向かず、すぐに前を向き「チームを勝たせるFW」の役割を果たした。相馬直樹監督は「悔しい思いを、彼の胸の奥というか。いろいろ話したりしていると思うが、そういうことでは解消されないようなものはあると思います」と上田の心をおもんぱかり、先発起用で結果を出したことに「メンタルだけでなく体の方も上がってきたところ、1つゴールに、気持ちの方もつながっていく、そうなってほしいと思います」と今後の活躍に期待を寄せている。今季7点目を挙げ、2年連続の2ケタ得点も現実味を帯びている。五輪後の上田の逆襲に期待したい。