セレッソ大阪は26日、レビークルピ監督(68)とマテル・コーチ(70)の契約を双方合意で解除し、後任監督に小菊昭雄コーチ(46)の昇格を発表した。ここまで7勝9分け9敗で勝ち点30の12位だが、最近17試合でわずか2勝しかできず、J2降格圏が迫っていた。スカウト時代にMF香川真司を発掘した小菊新監督は、Jリーグで選手経験もない変わり種。初のプロ監督就任に「これまでの経験、知識、強みを生かし、自分を育ててくれたクラブに全力で還元したい」とコメントした。香川がC大阪で活躍した時代の担当記者が、小菊新監督の人柄を振り返る。

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小菊新監督は香川真司から最も信頼された男だ。ブンデスの複数クラブからオファーを受けた09年末には「一緒に来て欲しい」と頼まれ、ドルトムントなどの施設を見学。約1週間、寝食をともにして移籍先の相談を受けていた。宿泊地のデュッセルドルフでは毎朝2人で10キロをランニングするのが日課だった。極寒のドイツ。凍った地面を並んで走り、一緒に新たな目標を思い描いた。

その後、香川はドルトムントの主力としてリーグ2連覇を達成し、マンチェスターUへ移籍。その背景には、小菊新監督の存在があった。「これから1人のファンとして真司を応援したい」と話していたが、海外にいる香川から度々、電話で相談を受けることもあったという。誠実な人柄で今後はどんな選手を育てるのか。良き兄貴分が、名将と呼ばれるようになって欲しいと心から願っている。【元C大阪担当=奈島宏樹】