川崎フロンターレがリーグ戦4試合ぶりの勝利を飾った。敵地で札幌に2-0と勝利し、勝ち点を66に積み上げ、首位を堅守した。札幌キラーでもあるFW小林悠(33)が今季10号となる先制点を決めた。6季連続、通算8度目の2桁得点。川崎F一筋12年目の生え抜きのベテランの活躍で2位横浜の追随を許さなかった。

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首位を守った川崎Fには、頼れる男がいる。FW小林は6月のACLでの負傷後リーグ戦初先発し、前半34分に左FW遠野の横パスを受けて、反転シュートで先制点を決めた。「自分が決めて勝つことしか考えていなかった。フロンターレは死んでいない、というところを見せたかった」。チームを救ったのは、札幌戦9試合連続得点中のキラー、小林だった。

MF三笘ら主力の移籍と、DF谷口、FW旗手らの負傷により、直近3戦1得点で勝ちなしと苦しんでいた。しかし“シルバーコレクター”と呼ばれ、何度も目の前でタイトルを逃した時代を知る小林は、「初めて負けたことで、周りが『フロンターレ大丈夫か?』という感じになっていたけど、もっと苦しい時代を経験しているので、1回負けることなんて普通」と大きく構えていた。

敗れた福岡戦から中2日のデーゲームで、川崎を経由せず直接札幌に乗り込んだ。ウズベキスタンでのACLを含めた2カ月間のアウェー15連戦の最終盤で、疲労はピーク。劣勢の時間を我慢強くしのいで数少ないチャンスを仕留めた小林に、指揮官は目を細めながら「いつもいつも、こういうときに結果を出すのが小林悠。自分もこういうゲームを託せるし、結果を出すのがまたすごい。素晴らしかった」と惜しみなくねぎらった。

じわじわと差を詰める横浜の圧を感じながら、最終節まで首位をキープするのは容易ではない。小林は「初めて優勝したとき(17年)もそうだけど、苦しい時をチームで乗り越えるから、優勝が見えてくる。タイトルはそう簡単じゃないと思っているので、苦しい状況も楽しんでバラバラにならずに、1つになって進みたい」と話した。9月に入れば、約3カ月ぶりのホームゲームが待っている。川崎Fにとって、今が踏ん張りどころだ。【杉山理紗】