J1復帰が決まったジュビロ磐田の鈴木政一監督(66)は先月27日からは体調不良で検査入院していた(現在は退院)ため、元日本代表の服部年宏ヘッドコーチ(48)がチームを指揮していた。02年にJ1制覇に導いた名将と、その教え子。師弟関係の2人がタッグを組み、クラブを立て直した。

鈴木監督と服部ヘッドコーチは昨年10月、同じタイミングで現場に復帰。これまで指導歴がなかった服部コーチを抜てきしたことについて、鈴木監督は「守備のスペシャリスト。彼のアドバイスを聞いて選手は学んでほしい」と説明。現役時代にボランチとして黄金期を支えた教え子を信頼し、参謀役に使命。練習では同コーチが主導となって行うメニューなどもあり、二人三脚でチームを作ってきた。

予期せぬ事態で指揮を任されることになった。初采配となったJ1大分との天皇杯準々決勝では敗れるも、指揮を執ったリーグ戦は4連勝。服部ヘッドコーチは「マサさんが作ってきたチーム。その流れを止めないことを意識した」。自身も指導を受けた鈴木監督が目指すサッカーは誰よりも理解している。その思いをくんで采配した。

1番近くで監督を見てきたからこそ、分かることもある。同コーチは「マサさんが怒鳴ったところを見たことがない。あまり言いすぎないことで選手の自主性も出てくる。こういうやり方でもチームが変わるんだなと思った」。言動や振る舞い、チームの士気を上げる姿。指導者として多くのことを学んだ1年だった。

「昇格するときにはピッチに立っていてほしい」。恩師と一緒に歓喜の瞬間を迎える夢はかなわなかったが、J2優勝が懸かっている戦いは残されている。残り3試合。黄金期を築いた名将から教え子へ-。バトンはしっかりとつながっている。【神谷亮磨】

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