2位青森山田がプレミアEAST優勝へ息を吹き返した。MF藤森颯太(3年)のスーパーボレーで先制し、FW渡辺星来(せら、3年)の公式戦初ハットトリックで4位柏U-18を4-1で一蹴。前半戦で初黒星を喫した相手にリベンジを果たした。東西王者が日本一を争うプレミアファイナルがコロナ禍で中止に。今夏優勝した全国高校総体、来月開幕する全国選手権との3冠の可能性は消滅した。それでも東の王者に向けて、残り2試合で全勝する。

渡辺星が3本中の3本を沈めるシュート決定率100%で、公式戦初のハットトリックだ! 3-1の後半23分、ゴール中央でこぼれ球を拾うと、倒れ込みながら豪快に左足を振ってゴールネットを揺らした。前半15分、後半20分にも落ち着いて得点。「苦しい状況で決められたのは良かったですし、自分の中でも評価できると思います」。リーグ3試合ぶりの先発で輝いた。

リベンジの思いが強かった。前節21日、清水ユースとの首位攻防戦は0-2で敗戦。途中出場からシュート3本を放つも、無得点に終わった。「エスパ戦が終わったときにものすごく悔しくて…。(清水FW)千葉寛汰は2本中の2本を決め、自分は1本枠内、あとは全部枠外だった」。その思いを胸に秘め、短い時間で1本中の1本にこだわり、特に左足に重点を置いてシュート練習。その成果をこの日の試合で示し、すべて左足でゴールを奪った。

1学年下の弟がプレミアデビューした。DF渡辺来依(らい、2年)は後半ロスタイムから出場。一方の渡辺星は同32分で退き、競演はならずも「率直にすごくうれしかったですし、できれば一緒にピッチに立ちたかったですが、今後頑張ればいいかなと」。渡辺家は5人きょうだいで、長男星来、次男来依、長女来夢(らむ)さん、次女愛来(あら)さん、三男来輝(らき)さんと全員の名前に「来」の1文字が入る。

星来という名前は「星に願いを込めて帰って来る」が由来だ。青森山田は順位こそ2位だが、14試合で勝ち点34、1試合平均の勝ち点は2・43。一方の首位清水ユースは16試合で同37、同2・31で、残り2試合で2勝すれば平均勝ち点の差で自力優勝できる。「チームを勝たせる仕事をするのがFW。1本中の1本を決められる選手になりたいです」。決戦はともにアウェー戦の予定。自らのゴールで勝ち星をつかみ、青森に帰って来る。【山田愛斗】