12年ぶりに臨んだJ1の開幕戦で京都サンガが強敵を倒した。ホームでの開幕戦で優勝候補の浦和レッズに1-0で勝利した。FWピーター・ウタカ(38)の決勝ゴールを守り抜き、10年12月4日の東京戦(西京極)以来のJ1白星。曹貴裁監督(53)のもと“冒険”の1歩を踏み出した。

J1の戦いに足を踏み入れた京都が、1つ目の白星を手にした。曹監督は紫色の勇者たちをねぎらった。

「非常にスリリングでアグレッシブな展開。世界に通用するみたいな大口たたいてやってますけど、本当にアドベンチャーの1歩を進めたんじゃないかなと。選手に感謝したい」

前半は一進一退の攻防。攻略したのはFWウタカだった。後半4分、ペナルティーエリア内でフリーでパスを受け、武器の右足を振り抜いた。「本当にチームプレーだったと思う。自分たちは、これからアドベンチャーをしていきたい」。指揮官とエースが口にしたのは戦う合言葉だ。 今年のチームスローガンは「S Adventure(エス アドベンチャー)」。過去よりもこれから始まる道に光が当たるように、との意味が込められている。試合中はベンチから何度も「アドベンチャー!」の声が飛ぶ。選手たちは積極的にプレスを仕掛け、ワクワクするプレーで観客を沸かせた。

始まった冒険は、きっと平たんな道だけではない。「この先、波があったり、いきなり穴ぼこがあったりするのがシーズン。いつも足元を見つめながら、目指すところに顔を上げて進んでいきたい」と曹監督。険しく長いJ1ロードを歩み続け、最後は輝く宝物を手にしたい。【磯綾乃】

<京都の記録メモ>

38歳のFWウタカが決勝点。38歳7日でのJ1開幕戦ゴールは歴代7位の年長記録。外国籍選手では93年の鹿島MFジーコ(40歳)00年の清水MFサントス(39歳)に次いで3番目。京都はJ1で4095日ぶりの勝利。J1の最長ブランク勝利記録は07~20年の横浜FCの4603日ぶりで、今回の京都はそれに次ぐ2番目。昇格チームのJ1開幕戦勝利は99年のJ2創設以降、延べ16チーム目。過去の15チームは全て、その年のJ1残留を決めている。