セレッソ大阪が今季初の3連勝で、J1通算300勝を達成した。

この快進撃には“加藤を出せばゴール”という神話まで誕生した。

3連勝は1点リードした状態で、すべて後半終了間際に追加点が生まれ、すべてに絡んでいるのがFW加藤陸次樹(むつき、24)。まさに「神様、仏様、加藤様」だ。

いずれの試合も、後半終了間際にMF清武と交代しての途中出場。前線からの守備をこなし、スキがあれば得点を狙うミッションを担う。計算すると、3試合計16分間で3ゴールに絡んだ。湘南戦は、ついに自身でゴールまで決めた。

【21日G大阪戦】2-1の後半42分に出場。同49分の相手FKを加藤とMF原川が相手と競り合ったことで、こぼれた球をMF毎熊がつなぎ、MF奥埜が高速カウンターを完結。3-1で勝利を決定付けた。

【25日浦和戦】1-0の後半40分に出場。同44分にDF西尾からのパスを加藤が前線に送り、毎熊のゴールで2-0に。再び勝利を決定付けた。

【29日湘南戦】1-0の後半37分に出場。同49分にMF中原が持ち込んだ球を相手GKがクリアし、それを拾った加藤が左足で無人のゴールへ(今季12試合で2点目)。2-0とし、三たび勝利を決定付けた。

加藤は昨季、J2ツエーゲン金沢から新加入した移籍2年目の中堅。今季から引退したレジェンド大久保嘉人の背番号20を引き継ぎ、開幕から先発を続けてきたが、不振でベンチ外を4試合経験した。先発は約1カ月近く遠ざかっているものの、最近3試合はスーパーサブで神懸かった結果を残した。

加藤の双子の兄威吹樹(いぶき)は、関東リーグ1部南葛SCのDF(センターバック)。2人はサンフレッチェ広島ユースまで常に同じクラブで育ち、大学以降は違うチームで成長を続ける。兄がJリーグ昇格を、弟はC大阪で日本代表入りを目指している。

悲願のJ1優勝を狙う5位C大阪は、次節6月18日の広島戦に4連勝を懸ける。その古巣戦の時には、好調加藤が先発復帰している可能性はあるが、いずれにせよ「神様、仏様、加藤様」の登場で、C大阪のゴール確率が上がることになる。【横田和幸】

 

◆加藤陸次樹(かとう・むつき)1997年(平9)8月6日、埼玉県生まれ。広島ユースから中大を経て20年にJ2金沢入りし、21年C大阪移籍。J1通算47試合9得点。178センチ、69キロ。