J2アルビレックス新潟は30日、アウェーでV・ファーレン長崎と対戦する。29日は気温30度を超える中、聖籠町で最終調整を行った。前節23日、ホーム、ファジアーノ岡山戦で今季初の逆転負け(2-3)を喫し、首位の座を横浜FCに明け渡した。ただ、チームに迷いは一切なし。常にゴールに矢印を向け、相手より多く得点を奪って勝ち点3を積み重ねる。J2リーグ通算50得点にリーチを懸けているFW鈴木孝司(33)は、得点と得意の動きだしで攻撃をけん引しようと意気込んでいる。

笑顔の似合うストライカーが勝利に導く。ただ単に得点を奪うだけでなく、ゴールに向かうまでの過程やプロセスに特徴を持つ鈴木は、パスの引き出し方、ボールを持っていないときのフリーランや立ち位置で対峙(たいじ)する相手を惑わし、得点を重ねる。J2リーグ通算50得点まであと「1」と迫っているベテランFWは長崎戦へ向け、「最終ラインを下げるためにも背後のスペースを狙いたい。その動きをおとりにして、誰かがそこに入って来てもいい」と、相手が一番嫌がるゴール前での仕事に徹するつもりだ。

チームは前節・岡山に逆転負けを喫してホーム2連敗。勝ち点を伸ばせず順位を2位に落とした。だが、リーグ戦は長崎戦を含めて残り14試合。まだまだ下を向く状況ではない。「今週もいい雰囲気で準備できた。勝つことだけを意識して取り組めている」。今節は守備だけでなく、正確なパスで攻撃の起点にもなるDF舞行龍ジェームズ(33)が累積警告で出場停止だが「ここまで誰が出ても勝ってきた。そこは全員が理解している。自分たちのサッカーで勝ちたい」と言い切る。

練習がオフだった25日には33回目の誕生日を迎えた。「家族でお祝いしてくれた。いいリフレッシュになった」。J2町田で12年にデビューし、今季でプロ生活11年目を迎えたが、自身には今以上に高いレベルを求める。「もっとうまくなりたい。大好きなサッカーで負けたくない」全てを突き詰め、勝つために成長を続ける鈴木が巧みに、そして強気に、ゴールに迫る。【小林忠】