コロナショックが、王者を襲った。川崎フロンターレが控え選手5人で、リーグ戦の第23節・浦和戦(埼玉)に臨んだ。5人のうちGKは3人、フィールドプレーヤーは2人という異例の事態。前日29日までに、計9人のトップチーム関係者が新型コロナウイルス陽性者と判定された。やりくりが難しい中、敗北を喫した。次節に対戦する首位横浜とは、消化試合数が2試合少ないが勝ち点差11の5位。優勝戦線の生き残りも厳しい状況となった。

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試合開始2時間前、午後5時ごろ。川崎Fのスタメンが発表されると、SNSがざわついた。スタメンは、ほぼ主力。注目はサブメンバーだった。ベンチ入りした控え選手はわずか5人。ましてGKが3人を占め、フィールドプレーヤーは2人だけ。29日までに計9人のトップチーム関係者が新型コロナウイルス陽性者と判定された影響だった。ツイッター上では「交代が足りない」とファンの嘆く声が多く投稿され「鬼木監督が出るしかない」という声まで上がった。

ハーフタイムの光景も異様だった。浦和サイドにはGK1人、フィールドプレーヤー6人がアップ。それに対し、川崎Fサイドのピッチはガラガラ。わずか5人が、ビブスを着て体を動かした。GKは丹野が務め、残りの2人のGK(安藤、早坂)はフィールドプレーヤー用の白いパンツをはき、クロスからのシュート練習などに参加した。

インサイドハーフなどを本職とするMF瀬古は右サイドバックで先発。普段はアンカーを務めるMF橘田も左サイドバックに入った。慣れないポジションが相手への隙となり、序盤から失点を重ねた。キャプテンのDF谷口は「普段やるポジションじゃないところで出てる選手もいたし、ミスが出るのは当たり前。いつも通りじゃないからこそ、いつも通りにやろうとするとうまくいかない。いつも通りじゃないことを頭に入れてやるべきだった」。浦和が5人の交代カードを使い切る中、川崎Fは控えのフィールドプレーヤー2人を投入するしかなかった。

この日を迎えるに当たり、練習生、スタッフが練習に参加したこともあった。鬼木監督は「こういう状況でしたけど、もっと出来たのでは、自分の力不足」と厳しい表情だった。次節の首位横浜とは勝ち点差11の5位。横浜より2試合少ないもののリーグ3連覇は厳しいものとなった。それでも谷口は「この敗戦で全て終わったわけではないし、まだまだ優勝は諦めていないし、諦めたらそこで終了」と言い切った。その前には中3日でルヴァン杯C大阪戦。異常事態を総力戦で乗り切る。【栗田尚樹】

◆Jリーグのベンチメンバー 先発11人に対し、サブメンバー7人がベンチ入りする。その内訳はGK1人、フィールド選手が6人。この日のJ1の8試合(計16チーム)でも、川崎F以外の15チームはすべてこの陣容だった。