「伊藤新体制」で仕切り直す。J2ベガルタ仙台は6日、原崎政人監督(48)を解任。8月までJ1ジュビロ磐田を指揮した伊藤彰氏(49)の監督就任を発表した。チームは一夜明けた7日、伊藤新監督の下、仙台市内で約2時間の練習を行った。仙台は現在4連敗中の4位。2位以内のJ1自動昇格圏内の2位アルビレックス新潟との勝ち点差は「10」に開いている。残りは8試合。至上命令の1年での「J1復帰」を目指し、掲げる攻撃サッカーで勝ち点3を積み上げていく。

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日差しが差し込む夏の暑さがまだ残るピッチ上。初顔合わせの選手を集めた伊藤新監督が決意を語った。「チーム全体が同じ方向を向いて、必ずJ1を勝ち取るんだ」。今季はJ1磐田で指揮を執り、前日6日に監督に就任したばかりだが、初日から積極的に指示を送った。戦術がぎっしり書き込まれたホワイトボードを使い、早くも“伊藤イズム”を浸透させた。「全てではないですが、僕の言ったことをイメージしてやってくれたと思います。『まずはやってみよう』と積極的に取り組んでくれました」と手応えを口にした。

新風を吹き込む。伊藤新監督は「(攻守ともに)攻撃的にいくこと。自分たちがしっかり前に進んでいくこと。選手とコミュニケーションを取りながらやっていきたい」と指針を明かした。チームは序盤こそ順調に勝ち点を積み重ね、一時は首位に立った。だが、現在は今季最多の4連敗中。勝負の終盤に急失速し、自動昇格圏が遠ざかる4位にとどまる。「個人的にも能力が高い選手がいて力があるチーム。勝ち星が転がり込んでいないだけ。まずは自信を持ちながらアグレッシブにやっていく気持ちを出していきたい」。今季は残り8戦。再浮上するためにも1試合も落とすつもりはない。

1年での「J1復帰」。それはクラブが掲げる至上命令だ。「まずはJ1昇格を目指し、勝ち点3を積み重ねていく」と意気込み、「その先にあるこれからの(ベガルタ)仙台の未来。熱い気持ちに共感した」と監督の打診から就任までの経緯を語った。

週末10日アウェー大分戦から初采配の予定だ。「J2優勝」の可能性が残されている限り、新生ベガルタが逆転ドラマを演じる。【佐藤究】

◆伊藤彰(いとう・あきら)1972年(昭47)9月19日生まれ、埼玉県出身。武南高から国士舘大を経て95年富士通入り。Jリーグ加盟により、川崎となり01年までプレー。02年から大宮、鳥栖、徳島に在籍し、06年現役引退。07年から大宮の下部組織を指導。17年大宮で監督、18年ヘッドコーチを経て、19~21年甲府で監督。22年1~8月まで磐田の監督を務めた。

■新監督の下、紅白戦

伊藤新監督の下、選手は紅白戦などで精力的に汗を流した。練習後、FW中山仁斗(30)は「仙台に移籍するきっかけは、原さん(原崎政人前監督)が必要としてくれたからです。突然の解任でびっくりしましたが、前を向いて進んでいくしかない」と話した。MF遠藤康(34)は「(監督解任は)選手の力不足。ピッチでやっているのは選手。前向きに切り替えてやっていくしかない。ここまで積み上げてきたのは原さん。原さんのためにも良い報告がしたい」と気持ちを新たにした。MF気田亮真(25)は「(原崎監督が)一番試合で使ってくれたので悔しい気持ちと、チームが苦しい時にケガで戦えなかったのがすごく残念だと思います」と言葉を振り絞った。