北海が全国一番乗りを決めた。札幌光星に2-1で勝利し17年ぶり2度目となる2連覇を達成し、12度目の代表切符を手にした。前半1分、左CKからFW田中準人(2年)が頭で合わせて先制し、1-1の後半6分にFW野村光希(同)が勝ち越しゴールを決めた。41年ぶりの優勝を目指した札幌光星は、前半20分にFW川合流央(3年)のPKで同点に追いついたが、涙をのんだ。全国大会(12月28日~、国立競技場ほか)の抽選会は11月21日に行われる。

昨年覇者は勝負強かった。1点リードを守り切り、歓喜の笛を聞いたのは北海イレブンだった。80分を戦い終えると、ピッチに倒れ込んで喜びをかみしめ、空に向かって両拳を突き上げた。小雨の肌寒さも吹き飛んだ。MF桜庭平良主将(3年)は「去年立たせてもらえたピッチにまた立てるのも、後輩たちを立たせられるのも、うれしい」と誇らしげだった。

開始56秒で先制パンチに成功した。最初のCK。ニアで田中が飛んだ。頭で合わせて1点目をもたらした。相手対策は万全だった。前日22日は準決勝後、夕方5時から夜9時ごろまでミーティング。ベンチ外の3年生中心で作成した用紙6~7枚分の分析資料を基に、特にセットプレーの作戦を練った。その成果が詰まった先制点に田中は「前日からのこだわりが出て良かった。狙いどおり」と笑った。

高円宮杯U-18プリンスリーグ北海道では開幕から5連敗。島谷制勝監督(53)は、同じミスを繰り返すイレブンの心を鍛えようと、8月ごろに練習を3日ほど中止して、チーム内で本音をぶつけ合う場をつくった。自身の課題を全員の前で発表し、仲間もその選手の課題を正直に指摘する。桜庭は「同じ方向を向けた」。チームが一丸となるきっかけとなった。

今大会に向けて同監督が掲げたテーマは「生を捨てる」。一戦必勝の決死の覚悟を求めた。攻め込まれても、体を張って最少失点でしのぎ勝ち取った白星。「今日は球際も空中戦もガチンコ、男と男の戦い。好ゲームだった」とうなずいた。例年は大会1カ月前から叱るのをやめるが、今年は直前まで叱りっぱなしだったイレブンが、連覇を成し遂げた。

次は昨年果たせなかった全国勝利を目指す。今大会チーム最多4得点を挙げた野村は「全国の強度でどれだけ自分のフィジカルが通用するか、ゴリゴリいけるか楽しみです」と闘志を燃やしていた。【保坂果那】

◆高校選手権道予選の連覇 戦後では61、62年度の美唄工が初。最多30度優勝の北海道大谷室蘭が室蘭大谷時代の82~92年に11連覇(90年は北海と両校優勝)したのが最長で、同校は6連覇も2度(71~76、94~99年)ある。3連覇は16~18年の旭川実の1度。2連覇は北海(04、05年)室蘭大谷(06、07年)旭川実(11、12年)に、今回の北海が加わった。