サッカーJ1の柏レイソルで工藤壮人さん(享年32)とともにプレーしたMF大谷秀和(37)が25日、柏市内の練習後、取材に応じ、工藤さんをしのんだ。工藤さんは21日に水頭症で治療中に死去した。

大谷は「厳しい状況だというのは聞いてはいた。何とか、回復を願っていましたけど。本人もプレーと一緒で、最後まで全力で戦ったと思います。お子さんの成長も見たかったと思います。工藤はまだサッカーはしたかったでしょうし。関わった人たちが、彼の思いを持って進んでいかなくてはいけないなと思いました」と目を潤ませながら言葉にした。

工藤さんとは今月に入り、別件でメールのやりとりをしていた。今思えば入院中で手術を受ける前だった。自身の状況は何も報告せず、逆に大谷の足首の状況を気にかけてくれた。「(メールの)やりとりをしていたので、なおさら、まさかという気持ちが強かった。僕もまた、いつでも会えると思っていたので…。いつでも会えると思っちゃダメだなと」と突然の後輩との別れに、心の整理がつかない様子だった。

今でも目に浮かぶのは、工藤の笑顔だ。人への気遣い、練習への真摯(しんし)な姿勢。後輩だったが学ぶことが多かった。「苦しい時にゴールを取ってくれる選手でもあった。ストライカーらしい、ギラギラしている姿は残っている。ピッチを離れれば、本当にいいヤツで…。気遣いができて。とにかく、豪快に笑っている姿が(頭に)残っている」。

居残り練習では、ストライカーとしてシュートに持ち込む形にこだわりを持ち、実戦を意識した練習を積んでいたことが印象に残っている。「特別に身体能力が高いわけでない、背が高いわけではない中で、あれだけゴールを奪えるのは考えてプレーしていたから。チームのために走って戦ってくれる選手ですけど、頭は冷静にしっかりプレーしていた賢い選手だと思う」と振り返る。

続けて「加入してすぐは難しい状況だったと思いますが、本人の努力とやり続けた結果、日本代表まで上り詰めた。そういう姿勢、考えを持っている選手は伸びると身近で見ていても感じた。チャンスが来たら絶対につかむという意思を持っている選手だった」と在りし日の工藤さんに思いをはせた。