首位の横浜F・マリノスが浦和レッズに4-1で大勝し、2位の川崎フロンターレは2-1でヴィッセル神戸に競り勝った。これで、横浜と川崎Fの勝ち点差は2のまま、優勝決定は11月5日の最終節に持ち越しとなった。横浜は連敗を2で止めて勝ち点65、川崎Fは3連勝で同63。最終節で横浜は神戸、川崎FはFC東京と、ともにアウェーで対戦する。最下位のジュビロ磐田はガンバ大阪に0-2で敗れ、1年でのJ2降格が決まった。

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パスは考えなかった。前半17分。ゴール右でボールを受けた横浜MF水沼は、利き足でない左足でシュートを狙った。「相手にとって怖いこと、足を振ることが大事だった」。DFに当たったが、こぼれたボールをFWエウベルが仕留めて先制。3試合ぶりのゴールが生まれた。

ここまでリーグ最多67得点の攻撃力が武器。しかし、敗れたここ2戦は0点。ゴールの味に飢えていた。波に乗り、一気に加点。4-0とした後、後半22分に1点を返されたが、その後は盤石の試合運びで締め、優勝にまた1歩前進した。

まさかの足踏みだった。最短で8日には優勝の可能性があった。そこからホームでの3連戦。そこまで今季は13勝1分けだった本拠地で、残留争いするG大阪、磐田に連敗した。攻撃力を売りにしながら、引いて守る相手に無得点が続いた。水沼は「へこんだところもあった」と振り返る。

連敗後の中断期間。天皇杯でJ2甲府がPK戦で、ルヴァン杯で広島が後半ロスタイムの劇的逆転で、それぞれ優勝する瞬間を見た。「目の前の相手を倒したい、その気持ちをどれだけ出せるか。持っていたけど、足りていなかった」と水沼。何よりもまず、ゴールに向かう-。その原点に立ち返った。この日放ったシュートは相手の倍以上の21本。攻めに攻めて、勝ちきった。

ホーム最終戦で快勝。タイトル目前でずっと重く沈んでいた“いかり”は上がったようだ。試合後、エウベルは詰めかけた4万6387人のサポーターに「安心してください。次、決めます」と宣言した。勝てば文句なし、引き分けても、タイトル獲得の可能性が極めて高い。西の港町・神戸で、3季ぶりのタイトルを横浜がつかむ。

【岡崎悠利】

◆J1優勝争いの行方 J1の優勝決定は3年ぶりに最終節へ持ち越しとなった。横浜はアウェーで神戸に勝てば無条件で優勝決定。引き分けても優勝の可能性は極めて高く、川崎Fがアウェーで東京に勝利すると勝ち点66で並ぶが、得失点差は現時点で横浜が33、川崎Fが22。川崎Fが得失点差で上回るには12点差以上の勝利が必要となる。川崎Fの逆転優勝には勝利が絶対条件で、勝ち点で上回るには横浜が負けなければならない。