浦和レッズのアジア制覇に勝負メシあり-。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝・第1戦(29日、サウジアラビア)に向け、中東遠征中の浦和に、日本代表の専属シェフとしても知られる西芳照氏(61)が同行している。2007年から16年間にわたり海外遠征に同行し、慣れないアウェーの地で浦和イレブンの食を支えている。西シェフと浦和のつながりを探ってみた。

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チームは24日から遠征に出発し、アル・ヒラル戦に向け中東で調整している。最高の食事で、選手の体をサポートしているのが西シェフだ。西シェフは、04年から日本代表に同行し「勝負メシ」で代表を支えてきたことで知られるが、浦和とも07年からの付き合いになる。

きっかけは、07年3月のACL1次リーグ・アウェーでのシドニー戦だった。現地の食事に、当時のオジェック監督が「パスタはゴムみたいで、人工甘味料もたくさん使用されている。アスリートが食べるものではない」と苦言を呈した。

指揮官の指摘を受けたチームマネジャーは、遠征をサポートしていた西鉄旅行社に相談。そこで、紹介されたのが、西シェフだった。5月のインドネシア遠征から同行がスタート。クラブ関係者は「当時はシェフを同行させるということは聞いたことがなく、選手やスタッフを連れていきたい所でもありましたが、強化部の理解もあり、実現しました」と明かす。

07年に浦和は、日本クラブとして初めてACLを制覇。決勝・第1戦のセパハン戦(イラン)が終わった後、オジェック監督は選手とスタッフを集め「ここまでこれたのは、西シェフのおかげです」と感謝を伝えた。西シェフの「食」がいかにチームを支えたかを物語るエピソードだ。

以降、浦和の海外遠征には西シェフが同行。浦和は過去に2度、ACLを制覇。ピッチ外でのスタッフの尽力が、海外での結果につながっている証だ。勝ち進むと追加で依頼するが、そこは長い付き合い。西シェフも、依頼前にスケジュールを空けてくれており、あうんの呼吸はバッチリだ。 メニューは西シェフとチームの管理栄養士で調整し決めている。大人気のメニューは、ペペロンチーノのパスタ。ペトロビッチ監督(現札幌監督)も大好物だった。現在もGK西川周作ら選手に大好評だ。試合後に必ず出るのがカレー。完全栄養食でもあるカレーが、疲労した選手の体を回復させてくれる。栄養満点のウナギが出ることもある。昨年4月のタイのセントラル開催では、選手たちがとても疲れているタイミングで、ウナギが登場した。

今回のタッグはアウェーだけにとどまらない。6日で埼玉スタジアムで行われる決勝・第2戦には、西シェフの臨時売店が出店予定。ホームでも西シェフが「勝負メシ」で後押しすることになりそうだ。【岩田千代巳】