公式戦通算60度目の大阪ダービーは、アウェーのセレッソ大阪が2-1で劇的勝利を収めた。

後半45分、MF香川真司(34)を経由したパスからFW加藤陸次樹(むつき、25)が決勝弾。終始攻められ続けながら、土壇場で約16秒のカウンターを完結させた。宿敵とのリーグ戦はこれで4連勝、直近は6勝2分けと圧倒し、通算21勝12分け27敗とした。

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C大阪が通算60度目の大舞台を劇的なドラマで締めくくった。攻められ続けて迎えた後半45分。G大阪宇佐美の放ったクロスを自陣で山中がクリアすると上門、香川、北野を経て、山中がクロスを供給。途中出場の加藤が約16秒のカウンターをヘッドで仕留めた。

埼玉県生まれの加藤は「僕は大阪の出身ではないが、歴史あるダービーで結果を出せた。興奮した」。わずか2度しかなかった決定機を、C大阪はすべてゴールに結びつけた。

前半に先制したもののG大阪に主導権を握られ、後半11分に同点を許した。その後、システムを4-3-3から4-4-2に変更して勝ち越しに成功。ロスタイム残り約3分は5バックで逃げ切った。小菊監督が温めていた勝負手が、徹底的にはまった。

リーグ戦では13年ぶり2度目のダービーを経験し、初めて勝利を味わった香川は「ダービーは泥臭くても勝つこと。僕のキャリアを通じて感じていた。サポーターにささげる勝利」と喜び、Jリーグ初対決となった宇佐美には「G大阪は貴史のチーム」とリスペクトも忘れなかった。

吹田市など大阪北部が拠点のG大阪と、大阪市などが拠点のC大阪によるダービー。C大阪は03年から約16年間、リーグ戦20試合で1勝しかできなかった天敵に、19年9月から公式戦では8勝4分け1敗と立場が完全に入れ替わった。

小菊監督は「歴史的勝利を飾れたことがうれしい」と言えば、現役時代にダービーの重圧を知る森島社長は「今の選手は冷静だし、あきらめない姿勢を見せてくれた」。一瞬のスキを見逃さない、したたかさが武器のC大阪は、G大阪が2度遂げた悲願のリーグ優勝を目指す。【横田和幸】

◆C大阪から見た大阪ダービー成績 今回で公式戦通算21勝12分け27敗。内訳はリーグ戦が15勝7分け23敗、ルヴァン杯が3勝5分け3敗、天皇杯が2勝1敗、ACLが1勝。小菊監督が就任した21年8月以降、公式戦通算6勝2分け1敗、アウェーは5勝1分けと不敗を誇る