昨年準優勝の藤枝明誠は7-1で静岡城北に快勝した。エースの遠野翔一(3年)が2得点を挙げるなど、攻撃陣が奮起して8強入りを決めた。浜名はPK戦でオイスカを振り切り、連覇を狙う磐田東はPK戦の末に静清に辛勝。この日でプレミアリーグ所属の静岡学園を含めたベスト8が出そろい、27日に準々決勝が行われる。

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藤枝明誠が実力差を見せつけた。前半20分、右クロスをMF矢頭勇亮(3年)が右足で合わせて先制点。立て続けに得点を奪うと、エースがようやく目覚めた。3点リードで迎えた同34分、中央を突破したFW遠野が左足ミドルで追加点。後半にも1点を追加した。9-0で大勝した浜松湖東戦は無得点で「FWとしてはあってはならないこと」。名誉挽回と位置付けた一戦で勝利に貢献し、「2点取れたことは次につながる」と胸をなで下ろした。

ただ、手放しでは喜べなかった。チームは後半に1失点。ゴール前での軽率なプレーが失点につながった。松本安司監督(53)は「チャンピオンになるチームは失点してはいけない。今日は絶対にゼロで終わらせろと言った。1点の重みが分かっていない」。試合後には選手を集めて叱責(しっせき)した。

厳しい言葉を浴びせた背景には昨年の悔しさがある。同校は昨年の県大会決勝で磐田東に0-2で敗戦。開始40秒で先制点を許し、主導権を握られた。指揮官は「本当に強いチームは最初から最後まで徹底できている」。あと1歩で全国出場を逃した教訓を生かすためにも選手には高いレベルを要求している。

2年生から主力の遠野も昨年の悔しい敗戦を経験した1人。一瞬の隙で勝敗が分かれる怖さを肌で感じている。試合後は「勝ったけれど課題が出た」と笑顔はなかった。次戦は清水東と対戦する。遠野は「もう1度気を引き締めて戦っていく。今年は先輩の思いも背負って優勝を目指したい」。大勝にも浮かれず、次戦に目を向けた。【神谷亮磨】

○…磐田東は苦しみながらも勝ちきった。1点を追う後半39分、左クロスをMF瀧井空(3年)がヘディングで同点弾。終了間際の土壇場に主将が起死回生の1発をたたき込んだ。PK戦ではキッカー5人全員が成功。相手の5人目が外して決着がついた。今大会は初戦となった沼津西との2回戦も1-0で辛勝。2試合連続で薄氷の勝利を収めている。瀧井は「勝つことで成長できることもある。次もチーム全員で戦いたい」と口元を引き締めた。