元スペイン代表で神戸主将のMFアンドレス・イニエスタ(39)が25日、神戸市内のホテルで記者会見を開き、今夏での神戸退団を発表した。18年の移籍加入から6季プレーし、20年元日の天皇杯決勝でクラブに初タイトルをもたらした。今季出場が減っていた世界の司令塔は「プレーしながら引退したい」と現役続行の意向。神戸での最終戦は7月1日の札幌戦(ノエスタ)に決まった。

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プレーした6シーズンを振り返るうち、魔術師の目に涙があふれた。「自分の人生の中でも最も重要な決断の1つだった」という自身初の海外移籍。神戸での戦いは、「大きなことを成し遂げたという感覚を持っている」と話せるまでの充実したものになった。

それでも、現役選手として常に試合に出続けたいという思いを抑えられなかった。今季リーグ戦では3試合で途中出場、プレー時間は通算38分間。チームは首位を走る一方、長い時間ピッチに立つ機会を与えられず、苦悩した。

「ずっと自分はここで引退する姿を想像してきたが、まだまだプレーを続け、ピッチで闘い続けたい思いはある」

希代のファンタジスタは、新たに輝ける場所を探すことを優先した。けんか別れではなく、神戸との関係は継続する。「今後は違った形、角度から神戸をサポートしていければ」。心から愛した日本、神戸との縁はまだ続く。日本にも、定期的に訪れる考えだ。

移籍先は未定だが、神戸での残された時間は1カ月余りになった。「自分がこのクラブを去る前に、まだ2つの大事な出来事が残っている」と挙げたのは、6月6日に国立競技場で行われるバルセロナとの親善試合と、神戸でのラストマッチになることが発表された7月1日のホーム札幌戦。「みなさんからの愛情を感謝している」と繰り返す背番号8は、その2試合で神戸、日本への思いを込めてプレーするつもりだ。【永田淳】