浦和レッズのFW興梠慎三(36)が東京戦に先発し、J1通算500試合出場を達成した。10人目でFWとしては初。前半14分にはポスト直撃のシュートを放ったが得点はならず。チームも東京と引き分けた。強靱(きょうじん)な体と、信頼される人間力を持ち、スコルジャ監督が「浦和の将軍」と評する。500試合を通過点にさらに高みを目指す。

FWで初の500試合出場を成し遂げた。興梠は前半14分、ペナルティーエリア内で相手DFに足をかけられながらも倒れず左足シュート。惜しくもポストに嫌われた。PKをもらえたかもしれないが倒れなかったのはFWの意地だ。「チャンスがある限り、あそこでFWは倒れちゃだめ。そこを決めきらないといけない。悔しいですね…」と振り返った。

J一筋でプレーし積み上げた500の数字。「初というのはやっぱりうれしい。どんな監督が来ても試合に絡んでいくことが出来たのでこの結果になったと思う。あとは丈夫な体に生んでくれた親にも感謝したい」。

長期離脱は、札幌に在籍した昨年4月、右膝内側半月板損傷による手術を受けた時。痛みを抱えながらプレーしていたところ、札幌のスタッフから背中を押され手術を決め約2カ月で復帰した。負傷が少ない理由に「そこまで無理するようなプレースタイルじゃないので。あとケガはないといったらうそになる。今もいろんなところが痛い。でも、やれる程度のけがなので」と振り返る。

今季は再び浦和に復帰した。出場機会が少なくメンタルが落ちかけた若手に、絶妙なタイミングで声をかける。ロッカー室では「集中」と声をかけるだけでチームがしまる。スコルジャ監督も「浦和の将軍」と評し「監督としてこういう存在がいるのは宝物」と言い切っている。

500試合は通過点に過ぎない。今後はチームとしての優勝が目標になる。「ここまで過去一番、タイトルを取った人、というのを目指していきたい。僕も取ってきてますけど(これまで12冠)そういう数字をね」といたずらっぽく笑った。【岩田千代巳】

○…日本代表の森保一監督が浦和-東京の試合を視察した。興梠の500試合達成に「向上心を忘れずやり続けた努力の結果」と敬意を表した。前線での起点、チャンスメーク、守備と柔軟なプレースタイルに「彼は日本人が世界で戦うために必要なプレーをみせてくれている。日本人選手の模範になる」と話した。

▼J1通算500試合出場 浦和FW興梠慎三(36)が8日の東京戦(埼玉)で達成。史上10人目、FW登録選手では初。初出場は鹿島時代の05年4月16日の千葉戦(国立)。J1通算出場数でFWの2位は歴代最多191得点のFW大久保嘉人で477試合。FW前田遼一が429試合、FW佐藤寿人が404試合で続く。大久保、前田、佐藤はJ2の経験があったが、興梠は常にJ1でプレーして大台に到達した。