日本サッカー協会(JFA)は31日、浦和レッズのサポーターに対する処分を審議する臨時理事会を開き、今月2日の天皇杯4回戦(対名古屋グランパス、CSアセット港サッカー場)で暴力や破壊等の行為に及んだ人物に科す処分を決定した。

悪質な行為が映像で確認できた17人に対し、日本国内で行われる全ての試合への「無期限入場禁止」処分を決めた。JFA主催試合に加え、Jリーグや各種連盟等が主催する試合が含まれ、小中高や女子に至るまで全ての試合会場に入れなくなる。

日本協会がサポーターを処分した人数としては過去最多。1人は5試合の入場禁止とし、この日時点で把握できた計18人を処分した。協会は<1>フィールドへの侵入行為<2>暴力行為<3>迷惑危険行為<4>破壊行為<5>横断幕に係る問題行為、を認定。新たな禁止行為が確認された場合は別途、追加処分が下される。

サポーターへの処分は天皇杯の「試合運営管理規定」が適用されるため、先に今回の臨時理事会で決定した。クラブへの懲罰は「懲罰規定」に基づく規律委員会の所管になるため、取り沙汰されている来年度の出場資格停止の可能性などは9月中旬予定の規律委員会で審議決定される。

合わせて、田嶋幸三会長が声明を発表。「17人に対する無期限の入場禁止は、浦和の試合だけでなく日本国内で行われる全ての試合を対象としたもので、極めて厳しい決定です」と強調した上で「(浦和サポーターは)素晴らしい存在であるにもかかわらず、一部の心ないサポーターによって、楽しく、ワクワクするはずの観戦環境が、暴力や威嚇、破壊行為で侵されたことは極めて残念なことです。今回の違反行為は、安全で安心してサッカーを楽しめる環境を広げていこうというサッカー界全体の取り組みを著しく阻害するものです」と断罪した。

「痛恨の極み」など厳しい言葉を並べ「スタジアムは若い人ばかりではありません。初めて来られる人もいるでしょう。障がい者の方や高齢者、子供も観戦しており、万が一、彼らに危害が及んだ場合、大きな事故になりかねません。さらに言えば、今回のケースは負傷者や死者を出すような重大な事故を引き起こす危険性もはらんでいました」とまで踏み込んだ。

一方、浦和は暴動が起きた翌3日、クラブ独自の処分を先んじて発表した。試合直後にJFA、Jリーグ、愛知県協会、両クラブ、両サポーターと協議した内容にのっとり、その時点では「暴力は振るっていない。立ち入り禁止エリアに侵入した」と認定。<1>立ち入り禁止エリアへの侵入を主導したサポーター31人に浦和が出場する9試合の入場禁止<2>統括するリーダー1人に16試合の入場禁止<3>立ち入り禁止エリアへ侵入したサポーター45人を厳重注意、の計77人を処分していた。

しかしその後、JFAが入手した映像を用いて浦和の競技運営部門と話し合い、違反行為の有無に関する確認や行為者の特定を実施。クラブは16日に新たな違反行為を発表し「暴力行為(警備員を押し倒したり、相手サポーターの胸ぐらをつかむなどの行為)12件」「破壊行為(緩衝柵を破壊するなどの行為)12件」などを科していた。そしてこの日、浦和の出場試合だけでなく、国内全試合への無期限入場禁止という日本協会からの厳罰も下された。

JFAは7月、スタジアム内で禁止されている火気の使用と持ち込みに及んだFC東京サポーター4人に国内全試合の無期限入場禁止を、同様に科していた。クラブ独自の処分としてはベガルタ仙台が同月、立ち入り制限エリアに侵入してジュビロ磐田のバスを取り囲んだ22人に対して、ホームおよびアウェーへの無期限入場禁止を決定していた。