日本サッカー協会は8月31日、浦和サポーターの処分を審議する臨時理事会を開き、同2日の天皇杯4回戦(対名古屋、CSアセット港サッカー場)後に暴力や破壊等の行為に及んだ17人に、国内全試合への無期限入場禁止処分を科した。日本協会によるものでは過去最多。関係者によると、暴力行為は確認できたものの人物までは特定できていない者が8人おり、判明し次第、同じく無期限入場禁止処分を追加するという。

協会は中継局の映像やYouTubeなどネット上の動画など計100本以上を確保し、特定に努めてきた。暴力や迷惑危険、破壊等の行為を認定。今後の調査で最大25人まで増える。臨時理事会の中でも「遠目からの映像が多く、特定できた18人は現時点の数字。今後も確認作業は続けていく」と報告されたという。さらに「罰則の見直しも検討する」とも伝えられた。

処分されたサポーターは天皇杯やJリーグはじめ、小中高から女子に至るまで全てのカテゴリーの試合会場に立ち入れなくなった。程度の軽い1人には5試合の入場禁止処分を科した。

田嶋幸三会長は声明を出し「浦和の試合だけでなく日本国内で行われる全ての試合を対象としたもので極めて厳しい決定」と強調。「負傷者や死者を出すような重大な事故を引き起こす危険性もはらんでいた」とまで踏み込んで指摘した。

無期限入場禁止者を判別する方法など、具体的な対応は今後、浦和と協力して模索していくとみられる。クラブ側は独自に、統括リーダー1人への16試合の入場禁止など計77人に対する処分を先行発表していた。

サポーター処分は「試合運営管理規定」が適用されるため先に承認された。クラブへの懲罰は規律委員会の所管。取り沙汰されている来年度の天皇杯出場資格停止等の可能性は9月中旬に審議決定される予定だ。

■名古屋サポに激高 緩衝帯突破の暴動

<浦和サポーター騒動経緯>

◆8月2日 浦和が名古屋に0-3で完敗。100人以上の浦和サポーターが、名古屋サポーターからのやじなどを起因に激高し、緩衝帯を突破。横断幕を引き剥がし、警備員を突き飛ばす暴動を起こし、愛知県警が出動した。

◆同3日 浦和が処分を発表。(1)立ち入り禁止エリアへの侵入を主導したサポーター31人に3日以降に開催される浦和の出場試合9試合への入場禁止(2)立ち入り禁止エリアへ侵入したサポーターを統括するリーダー1人を、3日以降に開催される浦和の出場試合16試合への入場禁止(3)立ち入り禁止エリアへ侵入したサポーター45人を厳重注意。

◆同5日 田口誠社長と須藤伸樹マーケティング本部長がオンラインで会見。処分について、日本サッカー協会やJリーグのガイドラインを判断基準に「立ち入り禁止エリアの侵入での処分とした」と明言。

◆同9日 田嶋会長が「毅然(きぜん)と判断しなければいけない」と発言。

◆同16日 浦和が「新たな違反行為」として続報を発表。(1)暴力行為12件(2)威嚇行為6件(3)危険行為8件(4)破壊行為12件(5)その他違反行為2件、と公表。

◆同31日 日本協会が臨時理事会を開き、試合運営管理規定によって、まずサポーターへの処分を決定。