今、「オジバナダ」が熱い。9日に天皇杯決勝を迎える川崎フロンターレMF橘田健人主将(25)の叔父・龍馬さん(51)。自身のX(旧ツイッター)に健人のチャントを全力で歌って踊る動画を投稿すると、サポーターの間で話題に。ジワジワ認知度を上げると、FW小林悠(36)やMF脇坂泰斗(28)、DF車屋紳太郎(31)らが次々と反応し、クラブレベルでも知られる存在となった。

どちらかというとおとなしい健人とは正反対ともいえる強烈なキャラクターがウケている。このほど、そんなオジバナダへの接触に成功。動画へのこだわりや、意外な過去が明らかになった。

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龍馬さんは、健人の父親の弟で、ファッション広告、雑誌など幅広く活動するプロのカメラマンだ。10月3日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)第2戦蔚山現代戦で後半44分にかわいい甥っ子の健人が決勝点を決めると、思わずXに歓喜の思いをつぶやいた。「あの試合をみて、吹っ切れた。健人の覚悟が見えた。おれも覚悟決めて応援するしかない。一肌脱ぐしかない」。

11月24日からは、これまで健人を支えてくれたフロンターレのサポーターへの感謝の思いを込めて動画の投稿を始めた。全力で歌い、踊る。「健人は『ありがとうございます』とは言うんだけど、なかなか表現できない。伝えたいことの100分の1も伝えられていないと思う。だから健人を代弁して、橘田家を代表してやっています。おれがやるしかないと」と使命感にかられた。

フロンターレサポーターから届く「元気が出ました」という声が一番うれしい。健人やクラブに迷惑がかからないように、確認しながら動画を作っている。破天荒なキャラクターとは裏腹に、冷静で緻密な一面がある。こだわりは、「親近感」だという。撮影場所はスタジオ兼用の自宅リビング。プロの機材はあえて使わず、撮影はiPhoneで行う。YouTubeチャンネルをともに制作するパートナーがカメラマンとなり、ダンスの振り、構図などを決めている。「もっとプロフェッショナルな映像は撮れるけど、そこじゃないなと。宣伝をしたいわけじゃないし、サポーターに届けるためにやっているので、レベルが高すぎるとひとごとになってしまう。お客さんに寄り添うのと同じですね」。

動画シリーズは脇坂、小林、フロサポ応援歌、車屋、アカデミーに所属する岡崎寅太郎、山村和也、瀬古樹、鳥重弁当、山根視来、脇坂PART2、マルシーニョと幅広く展開している。選手たちのプレーを研究し、イメージして振り付けに落とし込む。動画の最後に叫ぶ「チェスト~!!」は鹿児島弁で「いくぞー!」というニュアンスで気合を入れる時のかけ声で、スポーツ少年団などの横断幕にかなりの確率で書かれているという。

サポーターに喜んでもらいたい一心で始めたが、カメラマンという職業も相まって「健人にあやかっている」などという心ない言葉も一部ではある。「仕事の人はみんなツイッター(X)をやらないので完全にフロンターレのアカウントにしようかなと。健人を応援してくれていたサポーターの人たちが喜んでくれるで十分。自分の軸はぶらさずやれば分かってくれる人はいると思う」。

秘密兵器を用意している。自身の妹だ。健人にとっては、叔母にあたる「オババナダ」。健人の学生時代から、時間と資金をつぎ込んで、熱心にサポートしているという。「僕よりも強烈ですよ。隠し球としてまだ出していないです。でも確実に引っ張り出します。責任として。みんなオババナダを期待していると思うので」と豪快に笑った。【佐藤成】(後編につづく)