セレッソ大阪は30日、札幌の元日本代表DF田中駿汰(26)の完全移籍による獲得を正式に発表した。G大阪や名古屋など4クラブ以上と争奪戦を行い、田中側から21日にC大阪入りの返答を受け、既に移籍は内定していた。

田中はクラブを通じて「強い覚悟を持ってセレッソ大阪に来ました。タイトルを取れるようチームのために全てを懸けて戦います」などとコメントを発表。

札幌で国内屈指のセンターバックに成長した田中の争奪戦には、あるクラブは推定1億5000万円の好条件を提示。C大阪は「経営的にうちはマネーゲームができない」(クラブ幹部)と腹をくくり、推定8000万円の提示で金額面では圧倒的不利だった。

それでも大阪・岸和田市生まれでG大阪ジュニアユース、履正社出身の田中に対し、C大阪は大体大卒業時にもオファーした縁があった。強化担当者らの熱い思いが、5年以上の時間を経て実った形だ。C大阪の本拠地ヨドコウ(大阪市東住吉区)へは、田中の実家からも近いという地元クラブの利点もあった。

また、C大阪では田中が希望する守備的MF(アンカーか、ダブルボランチの一角)での起用を確約。田中の1列前に元日本代表MF香川や清武らを配置し、主に4-3-3システムになる具体的なプランも披露したという。田中をセンターバックでの起用を考えていた他クラブもあり、これらの交渉の過程でも、C大阪が獲得できた要因にもなった。

早くもC大阪サポーターからは、田中が目標とする元スペイン代表MFブスケツの名前を使い、「ようこそ、桜のブスケツ」などと大歓迎されている。今オフも大阪で自主トレする予定で、来年1月14日のチーム始動日には「セレッソ田中」の勇姿が見られる。

◆田中駿汰(たなか・しゅんた)1997年(平9)年5月26日、大阪府生まれ。G大阪ジュニアユース、履正社、大体大から20年札幌入り。大学4年時の19年にU-22日本代表でトゥーロン国際出場、同年ユニバーシアード日本代表で三笘らと金メダル獲得、日本代表としてE-1東アジア選手権香港戦で国際Aマッチデビュー。J1通算134試合8得点。183センチ、68キロ。