J3の奈良クラブは11日、奈良県生駒郡のナラディーアで始動し、ミーティングとトレーニングを行った。

想定より多くの報道陣が集まったこともあり、当初予定していた会議室から食堂に場所を移して行われたミーティングは、浜田満社長(48)のあいさつで始まった。浜田社長は選手を前に「30年ぐらいまでにJ1に引き上げたいと思って、逆算して考えている。今年で4合目のイメージ。結果の良い年、悪い年はあるが、毎年大きくなるクラブを目指している。今季は昇格を狙っていく。もう1つ上の世界を見たいと思うので、よろしくお願いします」と話した。

続けて、5年目の指揮となるスペイン人のフリアン・マリン・バサロ監督(34)があいさつ。「さらなる進化をして、もう1つ上の段階に行きたい。まずはファンへの“借金”を返すこと。昨季アウェーでは1位の成績だったが、ホームでは16位。ホームでの成績を良くすることが目標」と熱く語った。

その後行われた今季最初のトレーニングでは、ボール回しなどのメニューを消化。新加入選手も笑顔で汗を流した。

今季の戦いに向け、フリアン監督は「昨季の(5位という)結果には満足している。守備に関してはかなり手応えを感じていたが、バルセロナから来た監督として、試合を支配することは今年改善していきたい」。昨季のベースを軸にしながら、攻撃面の質を上げていく考えを示した。

ギラヴァンツ北九州から新加入のMF岡田優希(27)は「ワクワクしている。すべて懸けてやるので、勝つためにプレーしているところを見て欲しい」と宣言。フリアン監督から「残り1/3(アタッキングサード)のクオリティーを挙げるために力を貸して欲しい」と口説かれたという力をピッチで見せることを誓った。

この日時点での契約選手は23人と少なく、昨季の守護神アルナウがサガン鳥栖へ移籍したGKは1人のみ。浜田社長は「もう少し選手が入ってくる可能性はある」と話しており、この日2選手が練習参加していたGKをはじめ、複数選手の獲得が発表される可能性がある。

選手から「上を目指していることが伝わる」と声の挙がるクラブは、施設の改善も継続中。クラブハウス内の設備や筋トレ用具の充実だけでなく、ホームスタジアムであるロートフィールド奈良で23年7月から進められていた照明設置工事が完了したことも明らかになった。これにより今季はナイター開催が可能となる見込み。2月に調整中のプレシーズンマッチで、サポーターへのお披露目として「点灯式」が行われる予定。J3で2シーズン目となる今季も、奈良クラブはさまざまな部分で成長を目指していく。【永田淳】