帯広北高女子サッカー部元監督の鈴木木乃実氏(33)が北マリアナ諸島のU17代表チームの監督として指導に当たっている。昨年8月に就任し、発展途上のチームを世界の強豪と渡り合えるレベルに引き上げるべく、地道な指導に汗を流す。アジア圏の競技発展に貢献するため南国での挑戦を続ける。

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常夏の島でサッカー育成年代の指導に情熱を注ぐ。鈴木監督は23年8月に日本協会から派遣される形で北マリアナ諸島U17の代表監督に就任。国内唯一のサッカー場を備えるサイパン島で、U17監督のほか、U20やU12の代表チームでもコーチを務める。競技としては発展途上の国だが、「サッカーに対して前向きで、これからどんどん成長していくのが楽しみ。サッカー文化の確立に貢献していきたい」と充実した日々を送る。

監督を務めるU17では、個人の技術やチーム戦術の底上げを図るため、攻撃を重視した練習を重ねる。「試合で出た課題を解消しようとするとディフェンスばかりになってしまう。ボール持っている時も持っていない時もアタックする姿勢を持つことをチームのコンセプトにしている」と意図を語る。

選手たちの速い成長は指導者としてのモチベーションにつながっている。「最初はゴール前で何もできなかった選手が体を張って守れるようになったり、そこから攻撃につなげたり。練習でやっていることを最大限やってくれる選手が多いので成長を感じている」とやりがいは大きい。

指導者を志し、教員として赴任した帯広北高で女子サッカー部の監督を務めた。教員として2年間勤務した後に退職し、ちふれASエルフィン埼玉のU15チームの監督などを経て、国外での指導に挑戦しようと考えていた矢先、現職の募集を見つけた。当面の契約は25年1月までで、契約をいつまで更新するかは未定だが、女子サッカーの指導も視野にアジア圏に軸足を置いて、国外でキャリアを積んでいくつもりだ。「今は普及の意味合いが強い場所にいるけど、今後はもっと力を付けてアジアの競技力発展に貢献したい」。南国で指導経験を積み、育成のカリスマを目指す。【石井翔太】

◆鈴木木乃実(すずき・このみ)1990年(平2)7月26日、札幌市生まれ。岩見沢ジュニアFC1985で競技を始める。岩見沢光陵中時代はクラブフィールズ・リンダに所属。北海道大谷室蘭高-大東大卒業後、教員として帯広北高に赴任。ちふれASエルフィン埼玉のU15監督を経て、23年8月に北マリアナ諸島U17代表監督に就任。家族は夫。164センチ、50キロ。

◆北マリアナ諸島 日本から南に約2400キロにあるサイパン島やロタ島など14の島からなる米国自治領。人口は約5万人。日本との時差は1時間。公用語は英語とチャモロ語、カロリン語。年間平均気温は25度以上で雨期と乾期がある。FIFAには未加盟。