鹿島アントラーズの大卒ルーキーDF濃野(のうの)公人(21)が、開幕戦でスタメン出場し、堂々のJデビューを果たした。

“内田篤人2世”の呼び声高い右サイドバックは「J1の舞台がどんなものか不安もあったけど、やってやろうっていう気持ちが強かった。会場にのまれるイメージもあったけど、会場の雰囲気になじめた。良い意味でイメージと違いました」と話す通り、落ち着いてピッチに立った。

対面した名古屋グランパスの左ウイングバック山中亮輔(30)がクロスを狙う場面が増えたが、粘り強く奮闘。「山中選手のクロスをしっかり消してくれと要求されていた。距離をしっかり詰めることは意識した」と果敢に前に出て対応した。

攻撃でも、その持ち味を披露した。右から中央に入るだけでなく、ペナルティーエリア内や左サイドにも顔を出す神出鬼没ぶり。「相手の前じゃなくて、裏で受けてくれという要求もされている。一番相手の脅威になるところを常に考えて、ポジションを取るようにしています」と、アタッカー出身の強みを生かしたプレーで存在感を示した。

この日の出場は後半24分まで。関学大で同期だった名古屋MF倍井(ますい)謙(22)が同20分に投入されて対峙(たいじ)した際に、ふくらはぎが限界に近づいた。「倍井の怖さは自分が一番わかっていた。彼に1本入った時に、付いていけなくなりそうだったので、ベンチに『(足が)つりかけてます』と伝えました」。お互いが「感慨深い」と口にした再会はわずか4分程度となったが、プロとして勝利のために申し出た。

パリ五輪も目指す21歳には、視察に訪れていた日本代表の森保一監督(55)も「鹿島で開幕スタメンを勝ち取るのは、そんな簡単じゃない。キャンプから良いアピールができていたと想像できるし、今後がさらに楽しみ」と高評価。これを聞いた濃野は「プロでやっていたらそこ(代表)を目指すのは当たり前。そこに到達するために、地に足つけて、鹿島で結果を残せるように頑張りたい」と意気込んだ。

交代時には「のうの」ではなく「のの」と場内アナウンスされた。そのことを伝えられた背番号32は「まだまだ。自分の責任です」と笑顔を見せた。最後に「これからですね」と今後の活躍で知名度を上げていくことを誓い、デビューの地を後にした。【永田淳】