東京ヴェルディと横浜F・マリノスによる伝統チームによる国立開幕戦は、横浜が劇的勝利を収めた。前半7分に東京VのMF山田楓喜が鮮やかなFKを直接決めると、横浜は後半44分にFWアンデルソン・ロペスのPKで追いついた。さらにロスタイム3分、DF松原健のゴールで勝ち越した。

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東京V城福浩監督(62)は悔しい敗戦の責任を被った。

「勝たせられなかったのは私の責任だなという風に思います。今持てる力は選手たちが出してくれたと思うので。ゲームの内容からしても、シュートの本数からしても、オンターゲットからしても、今日勝たせられなかった一番の原因は、自分の采配。2つ目は、決定力ですね。やはり2点目を決められなければ、痛い目に合うということを我々は今日の時点で学ばなければいけない」

どのような点に責任を感じるのかという問いには「監督業は勝ったら選手のおかげ、負けたら監督のせいなんです。それ以上でもそれ以下でもないです」と潔かった。具体的なポイントについては、選手と共有するといい「自分たちが2点目を取れなかったのはなぜなのか、2失点したのはなぜなのか」。自分たちで勝利を引き寄せられなかった要因を分析し、次につなげていく。

前半は相手のビルドアップをうまく遮断し、自分たちのリズムで試合を展開した。後半はボールを持たれる時間帯も長かったが、うまく対応しているようにみえた。「多少のマリノス対策はしましたけれども、我々が何か特別な布陣を引いたかというと、そうではなくて、昨年やってきたことをブラッシュアップするというチーム作りの中で、選手がそこに向かって、よい準備をしてくれたので、ここまでやってきたことをしっかり出してくれたなという風に思います」と評価。それでも勝たなければ意味がない。「我々はよくやったと言われるために試合をやっているわけではないので、勝ち点3を取るためにやっている。応援に来てくれたお客さんに対して、サポーターに対して、本当に申し訳なかったなという風に思います」と悔しがった。

この敗戦を成長の糧にする。「悔しさを共有して、次にぶつけたい。その試合しての積み重ねの38試合で、結果になると思う」。若い選手たちが多いチーム。1人1人の急速なレベルアップにより、今季のJ1で台風の目になる可能性もある。

◆Jリーグ開幕戦 1993年5月15日、国立競技場でヴェルディ川崎(読売クラブ)と横浜マリノス(日産)が、開会セレモニーに続いて対戦した。チケットは抽選方式、NHKの視聴率は32・3%と国民的な関心事となった。試合は前半19分にFWマイヤーのゴールで川崎が先制したが、後半にMFエバートン、FWディアスのゴールで横浜が2-1と逆転勝ち。26歳だった川崎FW三浦知良(カズ)はフル出場。川崎DF加藤久、都並敏史、横浜MF木村和司、水沼貴史ら不遇の時代を支えてきたベテランは、涙で試合に臨んだ。

93年J元年の伝説の一戦再び 横浜が終盤逆転で開幕戦勝利 東京V善戦も及ばず/ライブ詳細

【動画】伝統の一戦は東京Vが先制 新加入・山田楓喜が挨拶代わりの直接FK