昨季で現役を引退し、Jリーグ特任理事に就任した元日本代表の小野伸二氏(44)が28日、都内で「Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアー」の開催を発表した。

子供たちにサッカーの楽しさを伝えるべく、全国のJクラブを回り、小学生を対象に基本技術練習、ミニゲームなどのサッカー教室を行う。同時に、気候変動への知識を子供たちにトークで伝えることも担う予定。第1回は4月28日に東京ヴェルディの本拠地・味の素スタジアムで開催。小学校低学年64人、小学高学年64人が参加する。

小野氏は会見の中で、自身の子供時代を振り返った。サッカーを始めたのは5歳のころ。保育園にサッカーゴールがあり、ネットに蹴り込んだ感覚は今でも覚えているという。団地に住み、同年代の子供たちと野球や鬼ごっこなど、いろんな遊びをする中で「サッカーが一番楽しい」と気づき、夢中になった。

スポーツ少年団に加入する際は、保護者に相談することなく、自分で入団申込書を書いて持参。少年団の監督が、小野の両親に「全部、こちらが持つからサッカーをやらしてあげてください」と頼んでくれたことで入団できた。毎日ボール蹴り、授業の合間の短い時間でもボールを蹴った。幼いながら、自身で試行錯誤しながら技術を磨き、「子供のころはボールを取られるという意味が分からなかった」と振り返るほどだった。

中学時代には、セルジオ越後氏のサッカースクールを手伝った。当時はセルジオ氏を知らなかったが「一緒にやらせてもらって、サッカーがうまくて、楽しく笑顔にさせてくれる。この人はスゴイ人なんだろうな」と感じたことは今でも覚えているという。その時の感動を、現役を引退した自分が子供たちへ伝えるのが役目だと感じ、今回の企画がスタートした。

「今の子供は僕のことを知らない。それぐらいでいいんです。セルジオさんから得た思い出は残っているもの。サッカーの楽しさを伝えていくことが僕の使命」。現役時代は、観客や味方の意表を突くあっと驚くプレーで魅了したファンタジスタ。「どうしたら歓声の中に驚きの声が聞こえるか。1試合で何回聞けるかを考えてました」と笑う。今もボールを蹴り続け、技術やアイデアはアップデートされている。子供たちに自身の技術を間近で見せ、サッカーの楽しさの裾野を広げていく。