モンテディオ山形が清水を2-0で下し、連敗を「3」で止めるとともに、今季ホーム初勝利をマークした。前半34分、ペナルティーエリア外からFW気田亮真(26)のシュートが決まり、移籍後初ゴール。先制点でチームに勢いをもたらした。さらに後半43分、FW高橋潤哉(26)が頭で押し込み、勝利を決定づけた。

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ようやく待ち焦がれていた瞬間が訪れた。昨年12月、仙台からの“禁断の移籍″が発表され、新天地で新たな物語をスタートさせた気田。ここまでの6戦は全て先発出場も、待望のゴールはお預け状態。それでも「チャンスはあったので、あとは決めきるだけ」と前を向き続けてきた。その中で迎えた清水戦。昨季のプレーオフ準決勝では1-1の引き分けで敗退を喫した因縁の相手。雪辱を果たすためにも絶対に負けられない戦いで、歓喜の瞬間がようやく訪れた。ペナルティーエリア外でラストパスを受けた気田は、人数をかけて対応されるも、冷静だった。「左足で打とうかと思ったが、相手の食いつきが冷静にみられた」。個人技で勝った気田の右足がネットを揺らした。右手を高く突き上げ、雄たけびをあげた気田にイレブンらが駆け寄り、喜びを爆発させた。

もう決して立ち止まらない。開幕2連勝から一転、ルヴァン杯を含め、5戦未勝利(4敗1分け)。昨季も同様、開幕2連勝から、クラブ初の8連敗に、悪夢の再来が脳裏をよぎった。だが、エース番号を背負う気田がチームを呼び覚ました。「相手がどこであっても100%のプレーができるかが大事。その姿が良い結果につながってよかった」と笑顔を見せた。渡辺晋監督(50)は「サポーターのみなさんの喜んでいる顔を見て、あらためてこの仕事をやっていてよかった」と言葉をかみしめた。

次節は4月3日、アウェーで長崎と対戦する。指揮官は「喜びの瞬間を彼ら(サポーター)とともに過ごすことができるように、緩むことなく、精進していきたい」と気を引き締めた。まだまだシーズンは始まったばかり。立ち止まった分、頂に向け、全速力で駆け抜ける。【木村有優】