日本サッカー協会(JFA)審判委員会は3日、東京・千代田区のJFAハウスでレフェリーブリーフィングを開催した。3月末までに実施されたJリーグでの事象について、JFA審判マネジャーJリーグ担当統括を務める佐藤隆治氏がメディア向けに説明した。

中でも注目された議題として、3月31日に行われた明治安田J1第5節・名古屋グランパス対横浜F・マリノス戦が報告された。負傷者が出ている中で横浜側の選手交代が認められず、10人となっている状態でプレーが再開され、直後に失点してしまった場面だ。

横浜はこの後半32分の失点で1-1に追いつかれ、試合終了間際にFKで勝ち越し点を奪われ敗れた。激しく抗議したキューウェル監督にイエローカード、不適切な言動により松崎裕通訳は2試合のベンチ入り停止処分が下されている。

この場面の詳細を説明すると、同じタイミングでの交代となった名古屋側の2選手の交代は認められ、横浜側もタッチライン際に2選手が立って待っている状態だったが、こちらの投入を前にして、名古屋側のスローイングでプレーが始まった。キューウェル監督が第4審判に向かって感情をあらわにする中、ピッチ上では名古屋側が前線へ縦パスを送り、抜け出した森島司が同点ゴールを奪っている。

これに対し、佐藤氏は「再開したらダメではない。選手交代は、手続きがすべて完了したところで交代となる。それ(横浜側の交代)が遅れたこと、名古屋側のリプレーの準備が整っていたことで、レフェリーは交代を後回しにした。早く試合を再開しなければいけないというプレッシャーもあった」と説明。その上で「適用ミスではない。ただ、もっとやり方はあったし、最適解ではない」と強調した。

Jリーグのルールとして、試合中の交代回数はハーフタイムを除く3回で、5人以内。第4審判は回数、人数をチェックし、そして交代用紙とメンバーを照合する作業、用具のチェック。そして交代ボードの操作と一連の交代作業には時間がかかることを説明した。

つまり、この試合では同じタイミングだったが、先に名古屋の交代手続きをしたことで、続けて横浜の手続きする時間が足りなかったようだ。不運なことに横浜は負傷者がいたことでピッチ上は10人だったこと、そこに直後のシンプルなプレーから失点という事象がついたため、適用方法への疑義や不公平感が増幅していた。

佐藤氏は「担当した審判含め全員には伝えましたた。サッカーは11人対11人ということからすれば、がいろんな考え方があったんじゃないか」。運用の間違いではないが、試合をコントロールする上での適切なマネジメントが必要だったとの認識を示していた。