16年ぶりのJ1を戦う東京ヴェルディが、アウェーで湘南を2-1と下した。J1勝利は2008年10月18日、大宮アルディージャ戦(1-0)以来、5646日(15年5カ月16日ぶり)。リーグ史上最長のJ1ブランク勝利となった。

雨が降る悪コンディションの中、前半15分に先制点を奪われた。DFラインを高く取っていたところ、敵陣から長いスルーパスを中央に通された。FWルキアンに独走を許し、ゴールを奪われた。その後も湘南のアグレッシブな攻守に押し込まれる展開が続き、反撃の糸口を見いだせない。

1点を追う後半開始から主将のボランチ森田晃樹に代えてFW山見大登をピッチに送るなど、前への推進力を強める構成でゴールに向かった。その山見が左サイドから好機をつくり、ゴールの機運が高まる。すると後半30分、山見のクロスボールをDF谷口栄斗が頭で押し込み追いついた。

勝ち越し点を狙い、前に出てくる湘南。その攻めを懸命にチーム総力で守り、次の1点を狙いにかかった。そして待望の瞬間が訪れた。後半41分、左サイドから山見が抜け出し右足で決勝点を奪った。厳しく苦しい戦いを制した。

16年ぶりの舞台で新生ヴェルディは生みの苦しみを味わった。2月25日の国立開幕戦で、横浜相手に先制しながら後半44分にPKで失点。さらにアディショナルに勝ち越し点を許して1-2と敗れた。

続く浦和レッズ戦も先制点を挙げながら、同じく後半44分にPKで追いつかれて1-1のドロー。第3節はセレッソ大阪と1-1の拮抗した展開の中、またしても後半アディショナルタイムにPKを与えて1-2と敗れた。

今季開幕時点のチーム平均年齢は最も若い24・1歳。そのチームを率いるのは、逆にJ1日本人監督では最年長となる63歳の城福浩監督。「J1の20番目のチームというのは厳然たる事実なんです。うちのチーム成長しかない」と言葉に力を込める。

年齢を感じさせない熱血漢に率いられ、チームは一戦ごとに成長。第4節のアルビレックス新潟戦は後半45分もゴールで2-2のドローに持ち込んだ。前節の京都戦も前半に2失点しながら、後半に怒濤(どとう)の反撃。エースFW染野の2ゴールでアディショナルタイムに2-2と追いつき、負け試合をドローに持ち込んだ。

「私が監督に就任したころ(22年6月)は平均入場者が5000人を切ることもあった。ずっと苦しい時代も変わらずに応援してくれた人たちがいた。その人たちを喜び合いたかった」。J1で5646日ぶりの勝利は「待ってくれていた人たち」に捧げるものとなった。【佐藤隆志】

 

城福監督「自分たちが目指しているサッカーをやり続ければ、必ず勝ち点3を取れると思っていました。早く選手に自信をつけてあげたかった。5000日ぶりですか? このクラブの歴史を背負い、苦しい中からはい上がる1歩だと思っていたので良かったです。次からは逆転ではなく、先制して逃げ切れるようにしたいと思います」

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