東京ヴェルディの城福浩監督(63)が5日、J1で5646日(15年5カ月16日)ぶりの勝利をサポーターと分かち合えた喜びをあらためて口にした。

柏レイソル戦(7日、味スタ)に向けた会見が5日、東京・稲城市のクラブハウスで行われ、明治安田J1第6節、2-1と逆転勝利を収めた3日夜の湘南ベルマーレ戦(レモンS)の「5646日」という史上最長ブランク勝利について言及。「いかに苦しい時間が長かったかということを象徴している数字です」としみじみと話した。

一夜明けの新聞など各メディアが大きく取り上げたことを目の当たりにし、「取り上げてくださるメディアの数。やっぱりヴェルディというのは、ブランドがあるというのは語弊があるが、日本で有数の歴史があるクラブなんだなと感じた」と感想を口にした。

15年5カ月間という気の遠くなるような期間中、経営難からクラブ消滅の危機にも立たされた時期があっただけに、勝利の喜びは格別なものだった。

「5646日という数字に、恐らくサポーターの方はその間の苦しい時期を想像していた。J1で勝利の喜びを分かち合えるというのを想像できなかった。現実に分かち合える、喜び会える、苦しかったねというのを。というのを、あの空間で共有できた。それと同時にこれからだ、という声も聞こえた」

そして試合当日のことを口にした。

「湘南のスタジアムで、普段はロッカールームから出ないんですけど、たまたま出たら、我々の選手があと2~3分か、4~5分でウォーミングアップが終わって揚がってくるタイミングでした。(サポーターの)コールリーダーの方が『おそらく苦しい時間もある。おそらく失点もするかもしれない。そういう時こそ、自分たちがいるんだということを示そう』と説明されているのを聞いていた。僕はそのままロッカーアウト(試合に出て行く)の時に選手にそれを伝えました。サポーターが、J1で勝つというのがどれだけ大変か一番よく分かっていると。だからこそ、その5000何日ぶりという歴史をこのメンバーで作ろう、と言って送り出した。彼らの存在って本当にありがいなと。そして『ここからだ』という思いも一緒に持ってくれている」

今季最初の勝ち点3となった湘南戦の勝利で終わりではない。「ここから」が始まり。新たな未来をつくるため、さっそく7日も柏レイソル戦での勝利を誓っていた。