ガンバ大阪の大卒ルーキーMF美藤倫(22)が、Jデビューに近づいている。

今季関学大から新加入のボランチは、6日のアウェー北海道コンサドーレ札幌戦で初めてベンチ入り。0-1で敗れる展開で出場はならなかったが、新たな1歩を踏み出した。

8日は大阪・吹田市内の練習場で調整。美藤は初のメンバー入りを「メンバー外からベンチにやっと入れたので、前向きに良かったなと思っています」と振り返った。

試合メンバーに入れることを決断したダニエル・ポヤトス監督(45)は、美藤についての現状をこう説明する。「大学から入ってきて、プロとして適用する時間が必要だった。レベルの違いがあるし、その中での走り方。大学ではずっと走っていても通用したと思うが、プロフェッショナルな世界、このJリーグでは“効果的な走り”をできることが大事になってくる。それを彼に伝えてトレーニングを積んでいる。本当に重要な選手だし、チャンスも巡ってくると思っている」。始動から約3カ月を経て、指揮官からプロとして認められるパフォーマンスを見せられるようになったことで、美藤は序列を1段階引き上げられた。

ポヤトス監督から「ボランチの相方や周りの選手と重ならないような動きを求められている」という美藤は、充実感を持って日々のトレーニングに取り組んでいる。「今までも考えずにサッカーやってきたわけではないけど、考える量が増えた。それは大変だけど、楽しくもある」。プレーヤーとしての成長を実感できる日々を過ごしていることに喜びを感じている。

関学大で同期だった鹿島アントラーズDF濃野公人(22)、名古屋グランパスMF倍井謙(23)J2水戸ホーリーホックMF長尾優斗(22)らはすでにプロデビューを果たし、出場時間を増やしている。彼らの動向は気にしているということだが、そこに焦りは感じていないという。「ガンバはボランチの層が厚いし、自分は自分で成長できている。悔しさはあるけど、焦りはない。今の状況を打ち破るのをワクワクしてる感じです」。着実な成長を実感できていることで、元チームメートの動向はそれほど気にしないでいられるようだ。

ポジションを争う相手はイスラエル代表MFネタ・ラビ(27)やダワン(27)、鈴木徳真(27)といった実力者たちとなるが、美藤は「守備の部分は負けてないと思う。攻撃の部分で器用にできることもアピールしていきたい」と宣戦布告。連戦が続く4月は、自身にとって大きなチャンスとなる。来たるべき時に向けて美藤は「出番を与えられれば、そのチャンスをつかみたいなと思ってます」。クールな顔でハードワークできるボランチは、デビュー戦から勝負を仕掛けるつもりでいる。【永田淳】