サッカー元日本代表監督で、J3FC今治オーナーの岡田武史氏(67=日本協会副会長)が学園長を務める私立高校「FC今治高里山校(FCI)」(愛媛県今治市)で9日、入学式が行われた。

1日に開校。1期生34人を迎え入れた岡ちゃん学園長は、祝辞で「ようこそFCIへ。入学おめでとうございます。今までの教育は失敗しないことを教えてきました。しかし、それはAIが全部やってくれます。これからは、失敗しながら学んでいかないといけない時代。この学校の中心になるのは主体性で、自分が何をしたいか、どうやりたいか、自分がどう思うか、しっかり持つこと」とエールを送った。

J3今治の本拠、今治里山スタジアムで行われた式典式では、朝から降っていた雨が上がるか悩ましい天気の中、生徒たちが「予定通り、ピッチで式をしたい」と自分たちで決定。同様に新入生たちで考えた「意思表明」のメッセージの発表もあり、岡田氏は「さっきからずっと、おっちゃんは泣きそうになりました。本当に、感動しちゃって」と希望を抱いていた。

同校は、前身の今治明徳高矢田分校を改称し、FC今治と提携。カリキュラムを一新し、必修科目は午前中に終えて、午後は地域に出てフィールドワーク中心に学ぶ方針。ロールモデルがない現代で、主体性を持って困難に立ち向かい、次の時代を切り開く、世界の歴史を動かすキャプテンシップを持ったリーダー「ヒストリック・キャプテン」の輩出を目指す。

校歌は、ダンスボーカルグループGENERATIONSのリーダーで松山市出身の白濱亜嵐が作詞・作曲。全員で合唱した。3階建てで全室個室、管理栄養士による朝晩の食事も出る寮も完備された。

入試では筆記などの学科試験をせず、選考は1泊2日の合宿でパフォーマンスが見られた。グループワークや面談で追加募集も含めて39人(うち県外生19人)が合格したが、受験者は定員の80人に届かず、岡田氏は「反響が大きかっただけに定員に届かずショックだが、教育方針には自信がある」とコメントしていた。

そして迎えた晴れの日で「泣きそう」になった岡田氏。サッカーで教え子を2度のFIFAワールドカップ(W杯)に導いた指導力で、新時代のリーダーを養成する。