J2で11位のモンテディオ山形と同8位のベガルタ仙台による“みちのくダービー″が今日13日、ユアテックスタジアム仙台(午後2時キックオフ)で行われる。

今季、仙台から山形へ“禁断の移籍″をしたMF加藤千尋(25)やMF気田亮真(26)にとって、古巣対決となる。昨季の対戦成績は1勝1敗。負けられない戦いを前に、公私で親しい仲だった加藤と、仙台MF鎌田大夢(22)が、互いに宣戦布告した。

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古巣との初対決に胸を躍らせつつ、加藤の中には絶対に譲れない熱い闘志がみなぎっていた。「一緒にやってきた仲間との対戦は楽しみだが絶対に負けたくない」。特に意識しているのは、プライベートでも親しい鎌田。「ご飯も行くし、オンラインゲームも一緒にやっていて、気づいたら常に隣にいる存在だった」。約1カ月ぶりの再会の場は“みちのくダービー”。熱い闘志が、ピッチ上で火花を散らす。

ライバルチームへの移籍は、厳しい声も覚悟の決断だった。21年に流通経大から仙台(当時J1)に加入し34試合(先発21試合)で3ゴールを挙げたが、チームは19位でJ2に降格した。22年は27試合(先発13試合)、23年は20試合(先発4試合)と出場機会が減少。「1年目で継続的に出場する中で降格させてしまったので、J1に引き戻したかった」と悔しさをプレーに転換したが、思うような結果は得られなかった。昨年1月には結婚。新たな家族のためにも、新しい環境での再出発を決意した。

各クラブから興味を示されたが、選んだのは攻撃的なスタイルに魅力を感じていた、同じ東北に本拠地を構える山形だった。「ライバルチームの移籍は本当に悩みました。ブーイングを覚悟の上で、必要とされている場所でサッカー選手として成長していきたい。『この決断は正解だった』と言えるように、頑張っていきたい」。並々ならぬ覚悟で、山形のユニホームに袖を通した。

チームは開幕2連勝、以降連勝がない。「『J1昇格』のためには連勝が大事になってくる。このダービーが分岐点になると思うので、絶対に負けられない」。加藤はここまで全試合途中出場で、この試合もベンチスタートが濃厚だ。だが、開幕から10節目で迎えたダービーで移籍後初ゴールを決め、チームだけではなく、自身も『ゼンシン』する。【木村有優】