東京ヴェルディとFC東京との16年ぶりのJ1での東京ダービーは2-2で引き分けた。3万1746人の観衆で埋まった注目の一戦は、白熱した大接戦となった。

2008年のダービーは1勝1敗。ともに後半アディショナルタイムに決勝点が飛び出す2-1の接戦だった。その16年前、FC東京を率いていたのは城福浩監督。今回は立場を逆にし、緑の指揮官として青赤と対峙(たいじ)した。試合直前のメンバー発表で城福監督の名前がコールされると、FC東京のスタンドからは大ブーイング。味スタのボルテージは最高潮となる中、試合は始まった。

先制したのはホームの東京Vだった。前半26分に左サイドのFW染野唯月のパスを受けたMF見木友哉がエリア内でFC東京MF安斎颯馬に倒された。安斎にはイエローカードが出た。前半28分、このPKを見木が自らゴール右へ決めて1点をリードした。

さらに攻勢をかける。前半33分、敵陣でDF宮原和也が相手パスを鋭い出足でインターセプト。そのまま縦へ持ち出し、ゴール前へクロスボールを送る。エリア内で待ち構えたFW染野が右足のボーレーシュートをゴールに突き刺した。GK波多野豪は一歩も動けぬスーパーゴールに、東京Vの城福監督はベンチ前で派手なガッツポーズで歓喜をあらわにした。染野は今季3点目となった。

前半43分には競り合った際にFC東京の安斎が東京Vの見木の足を踏み付け、2枚目のイエローカード。退場処分となった。

アディショナルタイム、FC東京はFW仲川輝人がドリブルで持ち込んだ際に相手選手と接触し倒れたが、ノーファウル。FC東京のスタッフ、選手はベンチ前へ飛び出して抗議する。両チームサポーターの歓声とブーイングが激しく入り混じった。

東京Vの2点リードで迎えた後半、東京Vが数的優位を生かして優位に試合を進めた。しかし、FC東京も意地を見せた。後半23分、東京Vのパスをインターセプトした右サイドバックの白井康介が一気に縦へと持ちこみ、ゴール前へグラウンダーのクロス。途中出場していたFW遠藤渓太が右足で合わせ、1点を返した。

その後、FC東京は後半27分、ベンチスタートだった日本代表DF長友佑都をバングーナガンデ佳史扶に代えて投入。長友にとってもプロ1年目だった2008年以来、J1舞台での東京ダービーとなった。

昨年7月の天皇杯3回戦で両チームが対戦した。PK戦でFC東京が勝利した試合後、かつての恩師・城福監督が声をかけた。「現役を続けろよ。まだ東京ダービーという、やることがあるでしょ? だからJ1で待っててくれよ」。J1を代表する「キラーコンテンツにしたい」との思い。熱い魂が交錯し、約束が現実のものとなった。

終盤は1人少ないFC東京が押し込み、東京Vが耐える展開。途中出場のスーパーサブ、山見大登が鋭いドリブルを武器に追加点を狙ったが、GK波多野の好セーブもありゴールならず。

このまま試合終了かと思われたが、後半49分、FC東京が追いついた。ロングボールのこぼれ球を拾ったFW遠藤が左足でシュート。これがゴール左隅へ決まり、土壇場で2-2の同点とした。

【J1スコア速報】はこちら>>

【動画】染野唯月が美しすぎるボレーシュート!東京ヴェルディ追加点!