Jリーグは16日、「明治安田Jリーグベストゴール」の2・3月度の受賞ゴールを発表。J1はアルビレックス新潟FW谷口海斗(28)が今季開幕のサガン鳥栖戦(2月24日)の前半アディショナルタイムに決めたロングシュートが選出された。なお、年間で最も優れたゴールに与えられる「年間最優秀ゴール賞」にもノミネートされた。

同日の練習後、J1リーグでは同賞初受賞(20年12月度J3リーグ月間ベストゴール受賞)となった谷口は、自らが園長を務める「谷口農園」のユニホームに身を包みながら、「光栄なこと。このゴールに満足せず、もっともっと勝利につながるゴールを求めていきたい」と喜びを語った。

ホテルマンと選手を兼務していたJ3いわてグルージャ盛岡時代に得た知識を生かし、クラブハウス前でトマトやナスなどの野菜を育てる心優しきストライカーは苦労人。四日市中央工高では3年間Bチーム。岐阜経済大(現岐阜協立大)でボランチからFWにコンバートされると、才能が開花。18年にアマチュア契約として盛岡でキャリアをスタートさせると、20年にロアッソ熊本に移籍。同年J3得点王に輝き、21年に当時J2の新潟に加入。翌年のJ2優勝とJ1昇格に貢献した。

夏野菜の収穫前にベストゴールを受賞。「賞金があったら農園やチームのために使おうと思っていたが…」と、昨季まであった賞金(20万円)がなくなったことを笑いながら残念がったが、「『ゴール前の迫力と谷口農園』を持ち味として、これからも戦っていきたい」と決意表明。J3から駆け上がってきたストライカーは、これからも二刀流で結果を出し続ける。【小林忠】

■選考理由

反町康治委員 「角度のないところからの思い切りのいいダイレクトシュートはスーパー。爽快感のある気持ちのいいゴールだった」

槙野智章委員 「あの距離と角度からのシュートはかなり難しい。そこからシュートを打つのかという驚きとシュートセンス。これぞストライカーというゴール」

北條聡委員 「こつ然と繰り出された圧巻ミドル。敵の虚を突くタイミングでボールをたたき、矢のようなショットを突き刺した」