東京ヴェルディの城福浩監督(65)が、アジア最多となる5度目のワールドカップ(W杯)日本代表入りを果たした“愛弟子”長友佑都(39=FC東京)への熱い思いを語った。

東京・稲城市のクラブハウスで、明治安田J1百年構想リーグEASTグループ最終節(24日・味スタ)の横浜F・マリノス戦に向けてメディア対応。その中で長友へのリスペクトの念を込め、言葉を紡いだ。

長友が2008年、明治大サッカー部を3年で退部してFC東京に加入。そのプロ1年目が城福監督の就任と同じタイミングとなった。10年夏にセリエAチェゼーナへ移籍するまでの2年半を一緒に過ごしている。

「代表での立ち位置、そのインサイドでの立ち位置を僕は伺い知ることはできないので、なんとも言いようがない部分もあるんですけども。僕が知ってる範囲で言えば、彼が高校、大学と順風満帆じゃない。各々最初からレギュラーだったわけじゃない中で、そんなに長くはないJリーグで活躍を見せてすぐイタリアに行った。イタリアに行った後、2チーム目のインテルでもどれだけ苦労したかは、それは僕も見聞きしていたし、彼とも個人的にもやり取りしていたので。それはパスは来ない、戦犯になる、あのスタジアムをホームに持ってACミランとのダービーとか含めてね、僕らが経験してないことをしてきてるわけです。しかも最初から何かを約束されたわけじゃない中でつかんできているのが、苦しい中でどうやれば自分がここで生きていけるかっていうのを実際に示してきた選手なんで、彼の言動にはそれなりの重みがあるのは当然だと思います」

イタリアの名門インテル・ミラノには11年1月から8シーズンにも渡り在籍。伝統の「ネラッズーリ(黒と青)」のユニホームを身にまとった唯一の日本人選手である。

「今ヨーロッパでやってる選手たちがね、ただ単に年齢的なものだけでリスペクトしているのではなくて、どんな状況を打破してきたかっていうのが、それがチームのにとって助けになるのは、これはもう僕は当然のことだというふうに思ってます」

「ギラギラ感」「反骨心」「野心」「とんがった」-。65歳となった今もエネルギーは枯渇しない。そんな城福監督を形容する言葉は、そのまま今年で40歳を迎える長友にも重なるものだろう。ただ城福監督の見る長友評は「賢い選手」なのだという。

「もちろん情熱は類を見ないぐらいの熱があると思いますけど、非常にクレバーなんですよ。非常に賢いし、いろんなものを見ながら、今自分が何をすればいいのか、今どこに食らいついていけばこのチームで認められるのか、自分が行きたいところの高みに行くためには今何をしなきゃいけないのか。そこに関しては時には謙虚になるし、時には自信満々の姿を見せる」

メンタルモンスターと呼ばれる長友も、1つ1つ自らの課題をクリアし、地道に積み上げてきたからこそ今がある。そんな背景も知る指揮官は、こう口にした。

「彼も悩んでいた、人知れず悩んでいたこともあった。それはFC東京にいる時からですよ。それは感じてましたし、僕は見えていたけども(長友は)見せないようにしていたからこそ、僕らも他人には言わなかったです。どれぐらい苦労してね、彼の経歴っていうものが勝ち取ってきたものなのかは、情熱だけじゃないです。本当にクレバーで、いろんなものが見えた中で、ちゃんと決断してアクションを起こせるというところが素晴らしいですよ。おそらく周りにいる仲間というか、選手たちもスタッフたちもそれを感じてるからこそ、必ずやチームにとってプラスになるということは確信してるんじゃないかなというふうに思います」

5度目のW杯代表入りを決めた後、深い絆で結ばれる師弟は連絡を取り合ったという。

「もう僕は選出された後のやり取りでも言いましたけど、日本をよろしく頼むな、と言いました」

長友からは「頑張ります」と返答があった。

義理人情に厚く、自らに関わった人への恩を忘れない。そんな律義なところも含めて「本当に賢い選手」と繰り返した。

城福監督からすれば、長友は誰よりも闘い、走り続けてきた選手に間違いない。そんな積み重ねの“年輪”を知るからこそ、この夏が楽しみでならない。【佐藤隆志】