日本人よ、もっと日本人選手の実力に自信を持て-。

 浦和のミハイロ・ペトロビッチ監督(57)が14日、会見で日本人中心の陣容で臨む理由を語った。

 この日チームは、今季の始動となる練習を行った。終了後、会見場に現れた同監督は、まず記者からの質問に応じた。

 クラブからは「これが最後の質問で」という声がかかり、約30分で会見は終了するはずだった。しかし同監督は「では、みなさんが本当は聞きたいであろうことを、自分で自分に質問することにしましょう」と言い、立ち上がるどころか、いすに深く座り直した。

 ペトロビッチ監督

 なぜ今年はブラジル人を補強しないのか。サポーターのみなさんも疑問に思っているようですね。

 今年の浦和は、外国人選手はFWズラタン1人と、枠を残している。新潟MFレオ・シルバへのオファーが報じられたこともあり、ブラジル人選手の加入を望む声も小さくない。それに対し、指揮官は補強に動かない意図を説明した。

 ペトロビッチ監督

 ほとんどの方には、以前ワシントンなどを擁して優勝した時のイメージが、まだ強く残っていると思う。でもサッカーも医学などと同じで、日々進歩している。取り巻く環境も変わっている。この20年で日本のサッカーは戦術的にも、個々の能力的にも、大きく進歩してきた。日本人は勤勉で、学習するのが速い。それはあらゆる分野に当てはまる。欧州のクラブで日本人選手が活躍していることを見れば、日本サッカーのレベルが上がっていることは明らかだ。

 一方で、経済状況もあり、Jリーグ発足当初よりも各クラブの予算は減っている。そこを踏まえて、指揮官は断じた。

 ペトロビッチ監督

 各クラブが予算に合った外国人選手を補強している。そしてほとんどのJ1クラブが、3人の外国人を擁していた。合計で50人くらいにはなるでしょうか。その中で、日本人選手を明らかに上回るパフォーマンスをしていたのは、私が思うに新潟のレオ・シルバと、川崎Fのレナトだけだ。

 外国人自体が不要だと思っている訳ではないと、同監督は続ける。

 ペトロビッチ監督

 外国人選手は、外国人であるだけではいけない。日本人選手よりも明らかに質が高く、日本人選手よりも確実に活躍できる選手でなければならない。そういう選手を取るには、今の日本人選手のレベルを考えれば、6億、7億、8億とかかる。ポンテ、ワシントンは質の高い選手だったが、今の日本人選手の中に入った時に、あの当時ほどの活躍ができるかどうかは分からない。

 日本人の気質にも触れながら、指揮官は日本人に、もっと自信を持った方がいいと諭す。

 ペトロビッチ監督

 日本人は外国にあるものを高く評価する。そして日本にあるものを低く評価するし、それが外国で評価されると、急に評価を高くあらためる。でも日本のサポーターのみなさんは、日本でプレーする日本人選手を、もっと高く評価するべきだろう。私はいつでも、自分の働くクラブで未来につながる仕事がしたいと思っている。今この時間さえよければという考えは、私にはない。「外国人の私が、なぜここまで日本のことを思うのか」と自分でも不思議になることもあるが、とにかく私はそう思って仕事をしている。そういう意味でも、より多くの日本人選手が多くの時間プレーできることは、いいことなのだと思っている。