<J1:名古屋2-1鹿島>◇第22節◇23日◇カシマ

 ピクシー名古屋がついに鬼門カシマを突破した。J創設の93年から公式戦21戦全敗、同一スタジア厶ではJリーグワースト記録となる黒星を並べてきたが、前節まで首位の鹿島に2-1で逆転勝ちし、2位に浮上した。同点の後半15分にエースFWフローデ・ヨンセン(34)がPKで決勝ゴール。歴史的1勝を手にした。次節は27日、ホーム瑞穂陸に清水を迎える。

 展開は決して良くなかった。試合巧者の鹿島に与えてはいけない先制点を簡単に献上。前半3分。中盤で競り負けたボールを一気に前線へとつながれ、フリーで受けたFWマルキーニョスにけり込まれた。開始直後の失点で、いやなムードが漂った。

 ただ、ここからがこれまでとは違った。6分後、右足首の故障を抱えながら強行出場したFW玉田のFKをファーサイドでDF吉田が合わせて価値ある同点に。プロ2年目、背番号と同じ通算「34」試合目でのリーグ初ゴールは24日の20歳の誕生日の前祝い弾。試合を振り出しに戻すと、2列目右サイドに入ったFW杉本の裏への飛び出しなどで、次第にペースをつかんでいった。

 カシマスタジアムは鬼門だった。初黒星はJリーグがスタートした93年のJ開幕戦。そこからリーグ、ナビスコ杯、天皇杯とどんな大会でも勝てず、昨年まで21連敗。話題は16年目で「鬼門」を突破できるかに集中したが、ストイコビッチ監督は「そんなに意識はしていない。我々のゲームをするだけ」と淡々。主力2人の出場停止を嘆き「これではピッチで描き出す“絵”が変わってくる」と珍しく、弱気なコメントを残していた。

 しかし、フタを開けてみれば、ピッチ上の選手は闘争心あふれるプレーを続け、いつも通りサイドを起点に攻撃的なスタイルで昨季のJ王者と互角以上に渡り合った。後半を前に指揮官も「ファイティングスピリットを出して良くプレーできている。絶対に勝とう!!」と猛ゲキを飛ばしてつかんだ重い1勝。2位に浮上し、悲願のリーグ初制覇にこれ以上ない勢いがついた。