東大初のJリーガーを目指す!

 東大ア式蹴球(サッカー)部のFW久木田紳吾(20)が16日から3日間の予定で練習生として鹿島の練習に参加している。2日連続で茨城県鹿嶋市内のクラブハウスで行われた紅白戦に出場し、リーグ2連覇の屈強なDF相手に懸命のプレーを見せた。鹿島が東大生の練習生を受け入れるのは初めて。久木田は「卒業後はプロに行きたい」と、日本の最高学府に新たな歴史をつくり出す意気込みだ。

 王者鹿島の誇る日本屈指のDFに対し、東大生久木田が必死にゴールを狙った。控え組に入り元日本代表FW田代と2トップを組んで、DF岩政、伊野波らに倒されても、ひたむきにDFラインの裏を突いてシュートを放った。紅白戦後は「岩政さんや伊野波さんは本当に体が強く、ごつかった」と振り返った。

 鹿島の前身、住友金属サッカー部の東大卒のOBを介して昨年から練習参加を希望し、ようやく実現した。「目標はプロ。今は勉強とサッカーしかやっていないです。瞬間的なスピードが持ち味です」。就職活動の第1希望はJクラブ入りと決めている。

 技術、体力ともに足りないことは分かっている。鹿島の奥野コーチには「プロに進みたいなら筋肉をつけて、もっと気持ちを表に出してプレーしないと」と助言された。今も178センチ、65キロの肉体をパワーアップさせるため、授業の合間には筋トレに励んでいる。

 名門熊本高から現役で東大に合格。「高校時代の1日の勉強時間は1時間半。予習をして授業で完ぺきに覚える。そうすれば他の時間をサッカーに充てられる」と高い集中力で文武両道を果たした。大学2年の現在は教養学部理科2類で学び、4月からは希望の都市工学科都市計画コースへの進級が内定している。

 鹿島の鈴木満強化部長も「思ったより動けている。将来プロに行けるか行けないかは別として、頭が良いから吸収も早いと思う」と驚きの声を上げた。東大卒のプロ野球選手は5人いるが、東大卒のJリーガーとなれば史上初。「卒業時にプロに行けなければ大学院に進みます。史上初だから挑戦しがいがある」と久木田。王者との「接触」を夢の実現への糧とする。【菅家大輔】