<J1:大宮0-0清水>◇第1節◇8日◇NACK

 J1清水は0-0で大宮に引き分け、アウェーでの開幕戦で勝ち点1を奪った。試合前日の練習で先発予定だったGK山本海人(23)が右太ももを痛め、急きょGK西部洋平(28)が出場。再三のピンチを好セーブで切り抜け、大事な開幕戦を無失点で乗り切った。8年ぶりのタイトル奪取に向け「健太エスパルス」は、まずまずのスタートを切った。

 ドローでも悲観する試合内容ではなかった。長谷川監督は「選手はよく戦った。当然、望むべき結果ではなかったが、勝ち点1を素直に喜んでいいと思う」と、まずまずの滑り出しを評価した。得点こそ奪えなかったが、アウェーでの戦いを無失点で切り抜けた価値は大きい。

 GK山本海の故障で、急きょ先発したGK西部が、ピンチをファインセーブで救った。「試合に出たかったし、出るつもりで準備していた。多少びっくりしたけど、落ち着いてできた」。前半38分、左サイドを崩されクロスから大宮FW市川のヒールシュートを胸ではじき返しゴールを死守。「よく我慢できた。体を起こした状態で体勢をキープできた」と、昨年から取り組んできたフォーム改善の成果も見せた。5年連続での開幕スタメンを思わぬ形でつかみ「結果的にゼロで終われて良かった。次も出してもらえるように、地道に信頼を得ていきたい」と「守護神奪回」に幸先良くスタートを切った。

 Jクラブ唯一の記録だった、J開幕の93年から16年続いた「開幕戦得点神話」は崩れたが、何度も大宮ゴールに迫りチャンスをつくった。相手を6本上回るシュート17本を放った。最後まで1点が遠く、エース岡崎は「落ち着いていれば決められた」と、前半終了間際に相手GKと1対1になったビックチャンスを生かせなかったことを悔やんだ。前日に持病のぜんそくの症状が出て、薬を服用しながらも初の開幕スタメンでピッチに立っていた。「やっと始まったという感じ。やれるという自信は持てた」と前を向いた。

 8年ぶりのタイトル奪取に向け、白星発進とはならなかったが、着実に「勝ち点1」を奪いシーズンの第1歩を踏み出した。長谷川監督は「開幕戦で勝たないと優勝できないというわけではない」。この1歩の価値をホーム開幕戦(14日、横浜戦)で、「勝ち点3」という形で証明してみせる。【為田聡史】