<J1:磐田1-1浦和>◇第3節◇21日◇エコパ

 勝ちきれなかった悔しさの中に、新たな戦いへのヒントが隠されていた。浦和FW高原直泰(29)は「ボールを受けに行って、前線に飛び込む。バランスがよくなれば、フィニッシュまで持っていける」と感じた。1-3で敗れた昨年7月の川崎F戦以来となる、田中達、エジミウソンと同時先発の攻撃型布陣。高原はピッチ全域を駆け回り、プロの公式戦では初めての「MF登録」をプレーで表現した。

 相手のカウンター攻撃を食らうと最終ラインにまで戻ってボールを奪取。前半36分には右タッチライン際に抜け出してパスを受け、クロスで得点機を演出した。フランクフルトからの移籍1年目だった昨季はリーグ戦27試合6得点。連係不足に悩む日々だったが、今季は違う。フィンケ監督のもと、人とボールが連動する新スタイルで、チャンスメーカーとしての能力が引き出され始めた。

 後半開始早々の決定機でシュートをGKに阻まれたのが悔しかった。「いい形ができているけれど、まだ得点がない。点がほしい」。貪欲(どんよく)な言葉が口を突いて出た。フィンケ監督も「得点のチャンスはつくっていた。選手交代も考えたが、流れは悪くなかった」と交代枠を2つ残すほど手応えを感じた。高原を軸とした流動サッカーが、V奪回のカギを握る可能性を示した一戦だった。【山下健二郎】