選手の国内移籍時の新規定について、JリーグとJリーグ選手協会(JPFA)の交渉が暗礁に乗り上げた。新規定が施行される10月1日に備え、10日の日本協会理事会で新規約の細部を承認する予定だったが、7日にJPFAから「合意できない」との文書が同協会あてに届いていたため、再協議が必要となった。8日、Jリーグの羽生英之事務局長が明かした。

 6月の日本協会理事会で国際サッカー連盟(FIFA)の移籍規定に沿った新規定の概要を承認済み。細部として、23歳以下の選手の移籍時に生じる予定の「トレーニング費用」が焦点になっていた。新規約では契約満了選手の国内移籍に移籍金は発生しないが、23歳以下の選手が同様のケースで移籍する際、新所属先が前所属先に同費用(推定で最大約3000万円)の支払いが必要としている。

 羽生事務局長は「JPFA側と口頭で合意したと考えていた」と説明。8月26日にはJPFA側に文書を送付していた。だが、J側が提示した同費用の額や年齢制限に、より自由な移籍を求めるJPFA側が反発した。これで同費用に関する規約の承認は、10月8日の日本協会理事会まで先送り。新規約は10月1日から「見切り発車」の形となる見込みで、鬼武健二Jリーグチェアマンは「10月8日までにJPFA側と話し合い合意したい」と険しい表情で話した。

 ◆トレーニング費用

 FIFAが定めたもの。契約が満了した12~21歳までの選手が移籍する場合に、新所属が前所属に支払うよう義務づけられた費用。選手育成費用の代償の意味合いがある。アジアの4カ国(日本、韓国、イラン、オーストラリア)に移籍する場合は所属年数1年につき約400万円、イングランドやスペイン、イタリアなどの欧州主要国へは約1200万円、欧州の中堅国へは約800万円と定められる。J側は800万円の提示も、JPFA側はFIFA規定の400万円を要求しているもよう。