経営難でJリーグから最大6億円の融資を受ける来季J2の大分が11日、大分市内で再建方針の概要を発表し、10年1月末で9億1600万円に達する見込みの実質債務超過額を4シーズン後の2014年1月末までに解消する計画を示した。J1復帰には、融資の完済と債務超過解消が条件。来季だけでなく短期間での再昇格を事実上断念し、J2で経営改善を図ることになった。ポポビッチ監督(42)の退任も発表されるなどコストカットの動きが急になってきた。

 大分が掲げた「1年でJ1復帰」の構想はもろくも崩れた。発表された再建方針によると、9億円を超える実質債務超過額を解消できるのは14年1月末。チームが優勝しても、昇格条件の3位以内に入っても、13年シーズンまではJ2。J1復帰は、早くても14年シーズンまで待たなければならない。選手には、気が遠くなるような年月だろう。

 再建方針には、シーズンチケットの販売数倍増を目指すことや、露出効果が高い発光ダイオード(LED)看板を導入して広告スポンサー増を狙うことなどが盛り込まれた。また、今季は10億4000万円だった人件費を来季は5億4900万円に削減し、その後は3億円台まで圧縮する。13日に立ち上げる支援組織「大分トリニータを支える県民会議」(仮称)を経て、再建計画としてJリーグに提出するという。

 大分で再建計画を担当する取締役の青野経営企画部長は「1年でのJ1復帰はあきらめたのか」と記者会見で問われると「そういうことになる」と苦しげに答えた。この日の配布資料には「場当たり的かつ判断を誤った経営と脆弱(ぜいじゃく)な財務体質」などと反省を込めた分析が記された。企業としての信頼を失い、金融機関から新規借り入れができない状態だったとの記述もあった。

 Jリーグが融資を決めた時点で約5億6000万円程度と見込まれた債務超過も、不良債権などを加えた実質債務超過額は9億円を超える見通し。知られていなかった負債が次々と出てくる事態に「(決算が)粉飾だったのでは?」と詰問される場面もあった。Jリーグの中野専務理事は「こちらの監査機能が不十分だったと言わざるを得ない」と自戒を込めて話した。

 今後の大分は借金返済を最優先する。この日はさっそくポポビッチ監督と主力のDF森重がチームを去ることが発表された。これからもコストカットしながら、強くならなければならない、という険しい道が待ち受けている。