<ナビスコ杯:山形2-0浦和>◇26日◇1次リーグ◇B組◇駒場

 山形はFW田代有三(27)が、移籍初マルチ得点で浦和を下し連勝。2位に浮上し、決勝トーナメント進出に大きく前進した。

 降りしきる雨を切り裂くように、山形FW田代のヘッド弾が2度、ゴールネットに突き刺さった。前半38分、DF石川のピンポイント左クロスを長髪から水しぶきを上げながら先制ゴール。後半18分には、ゴール正面で待ちかまえたMF増田の右クロスをゴール右隅へ。歓喜の輪の中心で、背番号10が満面の笑みを浮かべていた。

 雷雨予報の敵地で、再び「カミナリ直撃」は、こりごりだ。5月15日のリーグ新潟戦。1-3と完敗した試合で小林監督の堪忍袋の緒が切れた。ハーフタイムにロッカー室でクーラーボックスを蹴散らし、試合後帰郷するバスの中でも「お前らバスから降りろ!」と、怒鳴り散らした。指揮官が名指しでダメ出しした選手の中に、田代もいた。

 得点後に気持ちが守りに入り、逆転負けした新潟戦の反省は忘れていない。ゴールの喜びよりも「雨が降っていたから、守備を集中しようとみんなで話した。全員が頑張った」と、守備での貢献度をアピール。2位浮上にも、浮かれた様子はない。「まだ途中なんで」。決勝トーナメントが決定する日まで、ゴールを決めまくる。【山崎安昭】