「みちのくコンビ」が被災地へ激闘を伝える。明日23日、東日本大震災の影響で中断していたJリーグが約1カ月半ぶりに再開する。注目の仙台はアウェー(等々力)で川崎Fと対戦。生中継するNHKBS1では、かつて宮城・仙台放送局に勤務した吉松欣史アナ(43)が実況を、岩手・盛岡放送局に赴任経験がある一橋忠之アナ(34)がベンチサイドリポートを担当する。2人は被災した「第2の故郷」の復興への思いを胸に、ピッチに戻ってきたJ戦士の熱い戦いを届ける。

 大震災で被害を受けた仙台の船出となる一戦で、被災地にもなじみの深い「みちのくコンビ」がマイクを握る。NHKは川崎F-仙台戦をBS1で午後2時から全国生中継する。元仙台放送局の吉松アナが実況し、元盛岡放送局の一橋アナがリポーターを務める。震災前に決まっていたものだが、運命的だった。

 吉松アナは03年夏から3年間、仙台に赴任。サッカーや野球などを担当した。同年齢の仙台手倉森監督とも仲がいい。今回の震災直後は安否・避難所情報を伝え、1週間後に仙台へ応援に向かった。京都放送局にいた95年には阪神・淡路大震災の被災地取材も経験した。一橋アナは04年まで5年間、盛岡に赴任。1年目に陸前高田市の漁港でシラウオ漁に挑戦した。当時、取材に応じてくれた漁師の中には、いまだに安否が分からない人もいるという。

 この日、吉松アナは川崎Fの練習を取材。「少しずつだけど日本は普通の生活に戻りつつある。サッカーもできる状況になったんだよ、ということをしっかり伝えたい。ベガルタの苦労と一緒に(募金活動など)川崎のやってきたことも伝えたい」と意気込んだ。仙台の練習取材に訪れた一橋アナは「選手の活躍、思いというものをきちんと伝えたい」と話した。

 NHKは当日の放送で仙台のリーグ再開までの歩みを編集したVTRを紹介する。仙台市一番町の「壱弐参(いろは)横丁」でのパブリックビューイングの様子も、試合の合間に仙台放送局の高瀬登志彦アナ(37)が伝える。この試合番組を構成・指揮する森中隆介ディレクター(33)も、08年夏まで5年間、仙台放送局に勤務していた。第2の故郷・東北に思い入れのあるスタッフが、総出で仙台の再出発を全国に伝える。【由本裕貴】